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教育普及・授業サポート 京都市立二条中学校 総合的な学習 実施報告

日時:2018年11月7日(水)午前9時30分~12時
会場:京都国立近代美術館 講堂、3階企画展示室、4階コレクション・ギャラリー
参加人数:中学1年生 81名、引率 8名


 「総合的な学習」の授業の一環で、二条中学校の1年生81名が当館を訪れました。
 連携のきっかけは、8月に美術担当の先生から「美術館を会場に対話を取り入れた活動をしてみたい」とお問い合わせを頂いたことでした。その後、教育普及担当が先生方と打ち合わせを重ねて活動内容を検討。当日は、クラス担任など学年の先生方にも引率や活動の指示出しをしていただくなど、学校と美術館とが協力しあって授業を実施しました。

風景 当館への来館が初めての生徒が8割以上でした

 まずは、教育普及担当が美術館の役割や所蔵作品についてレクチャー。その後は全体を半分に分けて、2種類の活動を1時間交代で行いました。それぞれの活動には「ミッション」が与えられ、生徒たちは5名ずつのグループに分かれて協力しながらミッションに挑戦していきます。

ミッション1:校長室に飾りたい作品を見つけよう(藤田嗣治展にて)

 藤田嗣治展の出品作品から、学校の校長室に飾ってみたい1点を選ぶ活動です。
 まずは個人で作品を選び、時間が来たらグループで集まって各自が選んだ作品とその理由を発表しあいます。次にグループで話し合って1点に絞り、再度その絵の前に行って今度はじっくりと鑑賞を深めました。ここで生徒たちには、「描かれた年代と場所は?」、「おススメポイントはどこですか?」、「その絵を見てどう感じましたか?」と、一枚ずつ違う質問が書かれたワークシートが配られました。

風景 藤田展の会場で、ミッションの説明を受ける 風景 ロビーにて意見交換

ミッション2:曜日のイメージに合う作品を探そう(コレクション展にて)

 もう1つの活動は、曜日と作品とを結びつける鑑賞です。
 グループごとに1つの曜日がテーマとして与えられ、その曜日にふさわしいと思う作品をコレクション展の中から探しました。こちらも、まずは個人で活動して考えをまとめ、その後グループで意見交換を行って1点に絞ります。後半はグループで決めた作品の前に移動して、色鉛筆でスケッチをしたり、その作品を選んだ理由を考えたりしました。

風景 異なる曜日のグループが同じ作品を選ぶ場面も 風景 他の人の意見にも熱心に耳を傾けます

 美術館に来るのが初めてという生徒も多かったのですが、鑑賞する上での視点が「ミッション」というかたちで具体的に与えられたため、混乱することなく活動に集中できている様子でした。また、いずれの活動も「正解」を見つけることがゴールではなく、自分の感性で自由に作品を選べる内容になっていました。そのため、生徒たちは自分のペースでのびのびと活動することができていたように思います。
 細部を一生懸命見ようと作品に近寄って注意を受けてしまうという場面もありましたが、本物の作品を間近で鑑賞したり美術館でゆっくり過ごしたりと、生徒たちにとってかけがえのない体験になったのではないでしょうか。美術科の先生をはじめ、当日のナビゲートにご協力をいただいた先生方に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

(当館特定研究員 松山沙樹)

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