所蔵作品
The MoMAK
Collection
当館は次の方針に沿ってさまざまなジャンルの美術作品等を収集し、当館のみならず国内外の美術館活動に活かすべく努めています。
・近/現代美術史の将来的検証に資する作品・資料を収集する。
・絵画、彫刻、版画、素描類、工芸(陶芸・漆芸・金工・染織など)・デザイン、写真など、芸術の動向に係る作品・資料をジャンルの区別なく収集するだけなく、複数のジャンルを横断する作品も積極的に収集対象とする。
・日本の作品については、全国の動向に目配りしつつも、京都を基盤とし、関西さらには西日本での芸術活動に重点を置き、所蔵作品の充実を図る。
・国外の作品については、日本の芸術と世界の関係を鑑み、日本へ/からの影響関係が認められる作品の収集に重点を置く。特にダダイスムのような、芸術におけるパラダイムシフトに大きな役割を果たした動向の作品に注目する。
主に研究者を対象とした事前申し込み制のサービスで、各種展覧会カタログを閲覧いただけます。
Read More日本画 Japanese-style Paintings
油彩画 Oil Paintings
水彩・素描 Watercolor Paintings / Drawings
版画 Prints
写真 Photography
陶芸 Ceramics
金工 Metal Works
漆工 Lacquerware
木工 Wood Works
竹工 Bamboo Works
染織 Textiles
その他 Non-Category Works
・工芸 2,865点
・絵画 2,169点
・素描 ・版画 4,114点
・彫刻 107点
・書 83点
・写真 1,959点
・その他 384点
・資料 1,035点
特色あるコレクション Special Collections 当館では、コレクターや作家の旧蔵作品や時代的特色をもつ作品群を「特色のあるコレクション」として一括収集しています。
1939年 川勝コレクション
民藝運動の中心人物であり、陶磁器を中心とする制作活動に一生を捧げた河井寬次郎(1890 – 1966)の全貌を示す425点にもおよぶ作品群。河井の友人であり支援者でもあった川勝堅一氏(1892 – 1979)から寄贈されたもので、河井の初期から亡くなるまでの代表的な作品を網羅していることから、河井寬次郎研究の基準資料としての役割も担っています。
河井寬次郎《白地草花絵扁壺》1939年
明治期 「明治の工芸」コレクション
帝室技芸員による優品を含む明治から大正初期にかけての工芸品169点からなるコレクション。2016(平成28)年から2018(平成30)年にかけて集中的に収集されました。陶磁器、七宝、金工、漆工、染織、牙彫など多彩な技法・材質を用い、主に当時の殖産興業政策の下で国外への輸出を目的として製作された、いわゆる「輸出工芸」を中心とする貴重な作品群。
並河靖之《桜蝶図平皿》明治期
1904年 芝川照吉コレクション
毛織物商として栄えた大阪の芝川商店の東京支店に勤務しながら、若い洋画家・工芸家を支援した芝川照吉(1871 – 1923)が遺した約180点の作品・資料群。青木繁、岸田劉生、石井柏亭、坂本繁二郎、小川千甕などの絵画や素描とともに、藤井達吉、富本憲吉、バーナード・リーチ、河合卯之助などの工芸作品、さらには芝川旧蔵書のような関連資料をも含んでいます。
青木繁《女の顔》1904年
1959年 長谷川潔の版画作品群
画家・版画家としてフランスで活躍した長谷川潔(1891 – 1980)自身が、愛蔵する自作から選りすぐった約180点の作品群。文芸同人誌の表紙や挿絵として制作された初期の貴重な木版画をはじめ、同時に研究を重ねて再興させたマニエール・ノワール(メゾチント技法の一種)、ドライポイント、エッチング、アクアチントなど、多彩な技法に取り組んだ長谷川の創作の全足跡を辿ることができます。
長谷川潔《玻璃球のある静物》1959年
1972年 M&Yコレクション
戦後日本を代表する版画家の池田満寿夫(1934 – 1997)による、初期から晩年までの活動を網羅した約800点の作品群。池田と彼の長年にわたるパートナーであった佐藤陽子氏が運営していたM&Y事務所から2007(平成19)年に寄贈されました。池田がデビューを飾った東京国際版画ビエンナーレなど、数々の国際展に出品された代表作に加え、初期の貴重な豆本などが含まれます。
池田満寿夫《七つの大罪》1972年
1973年 井田照一の版画作品群
京都を拠点に活躍した版画家の井田照一(1941 – 2006)による約260点の作品群。2011(平成23)年にイダショウイチスタジオから一括で寄贈されました。国内外で高い評価を受けた1960年代から70年代までのリトグラフやシルクスクリーン・プリントの代表作に加え、《Surface is the Between》の継続的シリーズ、アメリカの版画工房クラウンポイント・プレスで制作されたアクアチントの大作などを含みます。
井田照一《La Vie en Rose》1973年
1917年 川西英コレクション
神戸を拠点に活動した版画家の川西英(1894 – 1965)が収集した約1,000点の作品・資料群。独学の川西が私淑し、文通もしていた竹久夢二の作品・資料がその3分の1を占めています。恩地幸四郎、山本鼎、川上澄生などの創作版画のほか、村山知義、高見澤路直、ワルワーラ・ブブノワのような前衛芸術家の版画作品をも含んでいます。
竹久夢二《セノオ楽譜no.44「蘭燈」》1917年
1928年以前 上野伊三郎+リチ コレクション
建築家上野伊三郎(1892 – 1972)と、その妻でウィーンに生まれ、ウィーン工房の一員としても活躍したデザイナーのリチ(1893 – 1967:フェリーツェ・上野=リックス)が遺した約700点の作品・資料群。夫妻が設立したインターナショナル・デザイン研究所の後身であるインターアクト美術学校より2006(平成18)年に寄贈されました。伊三郎による建築図面や、リチによる数多くのデザイン画とそれらに基づく壁紙や七宝・テキスタイル、さらには伊三郎の蔵書に加え諸資料が含まれます。
上野リチ《壁紙「そらまめ」》1928年以前
1900年頃 「世紀末ウィーンのグラフィック」コレクション
アパレル会社「キャビン」の創業者平明暘・悦子夫妻旧蔵の、302件からなる「世紀末ウィーン」のグラフィック・コレクション。グスタフ・クリムトやエゴン・シーレの素描のほか、コロマン・モーザーやカール・モルなどウィーン分離派に参加した作家たちによる木版画やデザイン原画、雑誌『ヴェル・サクルム』や『ディ・フレッヒェ』などの図案集、各種装丁本が含まれています。1880年代から第一次世界大戦(1914 – 1918)にいたる世紀転換期のウィーンにおけるグラフィックの動向を俯瞰しうる稀有なコレクション。
グスタフ・クリムト《ウィーン分離派の蔵書票》1900年頃
1907年 アーノルド・ギルバート・コレクション
アメリカ合衆国シカゴ在住のアーノルド・ギルバート夫妻が約20年をかけて収集した1050点の写真作品群。1986(昭和61)年に京セラ株式会社から寄贈されました。アンセル・アダムズ、カルティエ=ブレッソン、エドワード・ウェストンなど近代写真史を彩る巨匠の代表作を数多く含み、それらのほとんどが写真家自身の焼付によるオリジナル・プリントである点で貴重なコレクション。
アルフレッド・スティーグリッツ《三等船室》1907年
1932年 野島康三の写真作品群
日本の近代写真におけるピクトリアリズムを代表する写真家の野島康三(1889 – 1964)による活動の全貌を伝える約260点からなる作品・資料群。野島康三遺作保存会から寄贈されました。ブロムオイル印画(プリント)などの古典技法による貴重なオリジナル・プリントや、ドイツ新興写真に触発された銀塩写真(ゼラチン・シルバー・プリント)のほか、岸田劉生や富本憲吉など同時代の芸術家のために自邸で開催した展覧会の記録写真などの関連資料をも含んでいます。
野島康三《細川ちか子氏》1932年
1946年 アイリーン・スミス・コレクション
フォト・ジャーナリズムの歴史に偉大な足跡を残したアメリカ人写真家のW. ユージン・スミス(1918 – 1978)による、『第二次世界大戦』から『水俣』まで、グラフ雑誌『ライフ』に掲載されたフォト・エッセイの代表的シリーズをほぼ網羅した約280点からなる作品群。これらはすべて、『水俣』の取材パートナーであったアイリーン・未緒子・スミス氏が厳選し、保管していたものです。
W. ユージン・スミス《楽園への歩み》1946年