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ファンがつなごう!まちとミュージアム+越野清実
  「美術館“で”話そう、美術館“を”話そう」

お知らせ

ギャラリー・ラボ2007——鑑賞空間の合意に向けて
  ファンがつなごう!まちとミュージアム+越野清実
  「美術館“で”話そう、美術館“を”話そう」

ギャラリー・ラボ2007の期間中、私たち「ファンがつなごう!まちとミュージアム」は以下の5つの試みを実施します。私たちは日頃、一人でじっくり作品と語り合うことと同じぐらい、作品の前で隣人と語り合うことを楽しんでいます。その体験を踏まえながら、利用者と美術館の関係、あるいは利用者同士の関係を、ラボへの参加を通して見つめ直します。そして、美術館を活用する方法を利用者の視点から探りたいと考えています。

関連リンク
FM79.7 京都三条ラジオカフェ

プロジェクト内容・日程・実施報告

インタビュープロジェクト
期間中、コレクションギャラリーの来館者に対してインタビューを行い、展示空間内における会話の課題や、子どもたちの存在に対する多様な思考、今回のラボに対する感想などをお聞きする。

10月2日(火)15:00〜、14日(日)&28日(日)16:00〜 実施予定
インタビュープロジェクト実施 インタビュープロジェクト実施
インタビュープロジェクト実施(10月2日、4階ロビーにて)の様子
対話プロジェクトの直後の時間を見計らい、3日間で計28グループ分のインタビューを実施しました。印象的だったのは、みなさん大変丁寧にお答えくださったことです。そのため、一回あたりの所要時間が長くなり、予定していた件数よりは少なくなりましたが、各インタビュアーは手ごたえを感じたようです。ご協力くださいましたみなさま、本当にありがとうございました。
     質問させていただいた主な項目は「美術館に子どもが来るなら条件付だと思いますか?それはどんな条件ですか?」「周囲の人の話し声はいつもより気になりましたか?」など、子どもと美術館の関係や、鑑賞空間で交わされる会話など、属性も含めて19項目でした。今後は、インタビュー結果をラボ参加メンバーで共有し、さらに美術館と鑑賞者の関係について意見交換を深めたいと思います。なお、結果は近日中に美術館にもご報告いたします。
ラジオプロジェクト
京都三条ラジオカフェに放送枠を持ち、利用者と美術館スタッフの対話形式による美術館の紹介を行う。ギャラリー・ラボ2007を支える京都国立近代美術館の学習支援室の活動を紹介する(10月実施予定)。
10月12日(金)22:30より、京都三条ラジオカフェ「ファンがつなごう!まちとミュージアム」にて放送いたします。ご出演は、「プレイルーム。」にてラボにご参加のイチハラヒロコさんと、京都国立近代美術館で学習支援をご担当の豊田直香さんです。9分間という短い時間ですが、今回のラボへの思いを、お二人にお話いただきます。なお、放送内容は、後日ネットにて公開の予定です。また、放送エリアは上記の京都三条ラジオカフェのHPをご参照ください。
10月12日放送分を上記のブログにアップいたしました。なお、11月9日の放送分では、豊田さんと「ファンがつなごう!まちとミュージアム」のメンバーそれぞれに、今回のラボを振り返っていただきました。こちらも近日中にアップいたします。
くちこみプロジェクト
ギャラリー・ラボ2007への取り組みを口コミで広げ、「鑑賞空間の合意」に関して利用者同士が考える機会を積極的に設ける。
随時クチコミを展開しております。
サポートプロジェクト
鑑賞会メンバーのN氏の乳幼児を交代で預かるプロジェクト。子育て中のファミリーへの理解を共有しながら、子ども連れと美術館の関係について語り合う機会を設ける。

10月24日(水) 13:00〜 実施予定
     なお、幼児の健康状態により日程変更の可能性があります。
10月24日(水) 13:00〜16:30 サポート・プロジェクト実施

     13:00にロビー集合。Nさん親子(S君11ヶ月)+3名にて打ち合わせ。十分睡眠をとった後でご機嫌がよいので、最初からS君を預かるのではなく、むずかった時点でサポートすることにしました。その後全員で4Fのコレクションギャラリーへ。無事鑑賞修了。
     13:50ごろ、1Fでオムツ交換、そのまま「プレイルーム。」へ移動。S君が積み木(イチハラさんの作品)で遊ぶ隙にNさんは「カルロ・ザウリ展」へ。いよいよサポート核心部へ突入しましたが、5分後に早や泣きべそのS君。メンバーAは即あきらめて、和室の控え室(当日お借りできるようお願いしていました)へ引きこもろうとしましたが、メンバーB&Cの抱っこで事なきを得ました。その後は思った以上にご機嫌が続き、「プレイルーム。」で遊びました。
     14:25ごろ、しかし、S君いよいよ複雑な表情に…。再び抱っこで回復するも、なんとなく不安気です。
     14:35ごろ、お母さんと再会。一瞬泣くも、伸び伸びリラックスしたあそび振りに豹変。お母さんの存在感を目の当たりにしました。その後和室へ移動、オムツ交換を済ませ、カフェにて意見交換を実施。今後もサポートプロジェクトは継続できるのではないかとの意見で一致しました。16:30に解散。

     当初、S君の人見知りを恐れていたのですが、思った以上に順調に終えることができました。S君の体調やご機嫌が良かったことに加え、なにより「プレイルーム。」と和室控え室の存在が大きかったと思います。託児所が完備された美術館の魅力とは異なる時間の過ごし方が出来たように感じました。結果、子どもを持つ友人を柔軟にサポートする可能性が見えた気がします。今回サポートに入ったメンバーは、子育てを終えたもの、子どものいないもの、さまざまでしたが、互いに状況の異なるもの同志が理解を深める場として、またひとつ美術館の役割が深められた気がしました。

プレイルーム
「プレイルーム。」でNさんの子どもを預かるスタッフ

     以下、Nさんの感想もご報告いたします。

「コレクションギャラリーは総出で鑑賞しましたが、その間、Sがおとなしかったのは、やはり会場の雰囲気に拠るものではないかと思います。適度に話し声などがあり、異様な静謐というのではなかったので。あと、ちょっと昼寝をしたあとだったので、それもよかったと思います。こんな状態であれば、ベビーカーを貸し出してもらって、それで回ることでもできたかもしれません。ザウリ展には、いざとなれば戻るぞ、と携帯をポケットに入れて出かけましたが、SOSが入ることもなく、無事最後まで鑑賞させていただきました。プレイルームは思っていた以上に広々としていて、本当に贅沢な空間でした。30万円の積み木を投げたりぶつけたりするのは、赤ん坊ならではですが、シンプルな白いボックスの作品にも、興味を示していたし、イチハラさんはさすが、子どもの好きなものがよくわかっておられるな〜と感じました。総じて、私としては、大満足でした。大きかったのは、2点。まず何よりも、気心の知れたみなさんの強力なサポート態勢があったこと。何かあっても、一人で対処しなくてもよい、助けてもらえる、というのは、本当に心強いことです。それから、いざとなればひっこめる場所がある、ということ。幸い、帰る間際に授乳の必要が出るまで使用せずに済みましたが、もしどうしようもなく騒いだりした場合、慌てて館外に出ずともいったん控え室に引いて、落ち着いたところで次の行動を選択できる、というのはこれまた大きな味方だと思います。」
対話プロジェクト
プラスリラックスアートクラブ(アート鑑賞会)の例会をコレクションギャラリーにて実施し、交流タイムに特に作品を前に会話を交わすことに焦点を当てて意見交換を行う。また、他グループとのコラボレーションも試みる。
10月2日(火) 13:00〜
     プラスリラックスアートクラブによる実施。
10月14日(日) 13:30〜17:00
     ミュージアム・アクセス・ビューのみなさんとのコラボレーションを実施。
     京都国立近代美術館 1F「プレイルーム。」、講演室、ロビー、4Fコレクション・ギャラリー

     ミュージアム・アクセス・ビューとのはじめてのコラボレーションで、一同最初は少々緊張気味でしたが、いつの間にか「見える人」「見えない人」という状況も忘れるほど鑑賞を楽しんでいました。実に充実した1.5時間の鑑賞タイムを過ごさせていただきました。5グループに分かれましたので、それぞれに異なった感想や印象を持ったと思いますが、あるグループは、1.5時間で10点余りという濃密な鑑賞をしていました。またあるグループは、できるだけたくさんの作品を見ようとチャレンジ精神旺盛に館内を回っていました。50歳を過ぎて視力を失われた男性の「見えなくなってからのほうがじっくり見るようになった」という言葉に、参加メンバー一同大納得の一日となりました。
ミュージアム・アクセス・ビュー対話プロジェクト ミュージアム・アクセス・ビュー対話プロジェクト
ミュージアム・アクセス・ビュー対話プロジェクト実施(10月14日)の様子
10月28日(日) 13:00〜17:00
     横田氏のラボとのコラボレーションを実施。

     私たちが参加する美術鑑賞会(プラスリラックスアートクラブ)のメンバーが、ガールスカウトの子どもたちと共に作品鑑賞をするという、鑑賞会はじまって以来初の体験となりました。
     子どもたちへの責任からか、中には少々緊張してしまう大人も出現しましたが、前回のミュージアム・アクセス・ビューのみなさんとの鑑賞と同じように、グループそれぞれの鑑賞方法で気に入った作品を見つけていました。会話を通して発見した、大人の我々とは異なる視点や集中力、「子どもたちは具体的な画題を選ぶのではないか」と思っていた予想を見事に裏切られた審査結果などなど、先入観や固定観念から開放されたひとときになりました。鑑賞に夢中になるとつい作品に迫って見てしまい、会話と作品保護についてもあらためて考える時間になりました。
木の葉プロジェクト
ギャラリー・ラボ2007が問いかける「鑑賞空間における社会的ジレンマの調停は可能だろうか?」の言葉に呼応して、会期開始後に取り組んだプロジェクト。「会話を通して作品理解を深めたい」人と「一人で静かに鑑賞したい」人の存在に互いが気付きあえるよう、コレクション・ギャラリー来館者に2色(オレンジとグリーン)の木の葉のシールを配布し選んでいただく(途中で変更も可)。退館時には選択したシールをパネルに貼って頂き、会期中にどのような「木」に成長するかを見守る。

10月16日、23日、26日、30日、11月2日、4日 実施予定
(各回14:00〜16:00、11月4日は10:00〜11:00も実施)
10月16日(火) 14:00〜15:30実施

     初めての木の葉プロジェクトに2名で参加しました。一人はコレクション・ギャラリーの入り口で来館者の方にプロジェクトの趣旨をご案内しながらシールをお渡しし、もう一人は出口でシールを回収して、来館者の手で「木」に貼って頂きました。16日の時点では、半数強の方がオレンジ色の「語り合いたい」シールを選ばれました。中には2種両方を貼る方も…。予想以上に語りながら作品を鑑賞したいとお考えの方がおられることに驚きました。さて、今後はどう展開していくでしょうか。

成長中の「木」 成長中の「木」
成長中の「木」
成長中の「木」
木の葉プロジェクト 木の葉プロジェクト
10月23日(火)実施の様子(4Fロビー)
木の葉プロジェクト
10月30日(火)時点の木の葉プロジェクト進行状況

木の葉プロジェクト
10月30日(火)活動の様子(4階ロビー)
木の葉プロジェクトは11月4日(日)の10:00〜12:00、14:00〜16:00に最後の活動を行いました。当プロジェクトの結果は「語り合いたい」シール101.3枚、「一人静かに」シール109枚となりました。
     「0.3」につきましては、写真をご参照ください。参加者ご自身の判断で貼られた結果です。

木の葉プロジェクト
「木の葉プロジェクト」最終日の様子

木の葉プロジェクト
0.3の「語り合いたい」シールが添付された様子

「語り合いたい」方と「一人静かに」見たい方は、ほぼ半数ずつということになりました。また、この中には、お1人で両方のシールを貼っていかれた方もいらっしゃいました。みなさんはこの結果をどのように受け止められるでしょうか。会話を交わしてもさほど気にならない美術館も増えてきてはいますが、「美術館にこられる方の半分は、自分とは違う感覚を持っている」状態が推測される結果を受けて、鑑賞者同士の関係について今後も考えていきたいと思います。
告知プロジェクト
4Fに掲示された、美術館によるテキスト(「ギャラリー・ラボ2007は 静かに鑑賞したい私と鑑賞の感動を語り合いたい別の私が 互いを尊重しながら円満に共存できる 新しい鑑賞空間を探る試みです。みなさまのご理解とご協力を、心からお願いいたします」)を、別の言葉で表現するプロジェクト。一般の来館者に対して、今ラボの意図をより具体的に伝えることを目的に実施した。

10月13日(土)〜会期修了

告知プロジェクト
掲示風景
(同志社大学大学院・越野清実)
越野清実(こしの・きよみ)
同志社大学大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーション研究コース在籍
プラスリラックス 代表
京都を拠点に、初心者が気軽に参加できるアート鑑賞会(プラスリラックスアートクラブ)や美術館ツアー企画などを展開。現在「美術館を活用した生涯学習の実践的研究」をテーマに、社会人学生として勉強中。鑑賞会の有志で作るグループ「ファンがつなごう!まちとミュージアム」と共に、リソースとしての美術館の可能性を利用者の視点から模索している。

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