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展覧会ヴァン・ゴッホ展

ヴァン・ゴッホ展

 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホは、独特の炎のような色彩表現をもって現代絵画の大きな源泉となったのみならず、生命感にあふれる躍動的な線の芸術家としてもことのほか傑出しており、その作品は世界中の多くの人々から親しまれてきた。ことに日本とゴッホとの結びつきは強く、日本の浮世絵のもつ内容や形式や色彩を徹底的に研究し、それを通じてフランスにおける日本趣味に別の地平を切り拓いたのがゴッホであった。一方、日本においても、明治末期以来ゴッホに対する愛好はおとろえることなく今に至っている。

 日本におけるゴッホの展覧会は、1958年に大規模な展観があって以来久々であるが、今回はオランダ国立ヴァン・ゴッホ美術館の所蔵品の中から素描と水彩に主眼をおいて選択された。わずか10年の活動期間しかもたなかったゴッホは、約1700点の作品を描いているが、そのうちの100点が、最初期のエッテン時代から、ハーグ時代、ヌエネン時代、アントワープ時代、パリ時代、アルル時代、サン・レミ時代、オーヴェール・シュル・オワーズ時代と年代を追って展観された。

 ヴァン・ゴッホの芸術の変遷の姿を通覧できるように、素描と水彩を中心に構成された本展は、従来、強烈な色彩をもつ油絵の圧倒的な魅力のかげに、ともすれば見過されがちであったゴッホの線による表現力のすばらしさを味わう上でまたとない機会であり、好評のうちに終了した。

会期
52年1月6日-2月20日
入場者数
総数280,224人(1日平均7,005人)
共催
オランダ国立ヴァン・ゴッホ美術館 国立西洋美術館 中日新聞社 中部日本放送
後援
外務省 文化庁 オランダ大使館 近畿六府県教育委員会 大阪・京都市両教育委員会
出品目録
題名 制作年 寸法(cm) 材質
エッテン時代 種子まく人(ミレーによる) 1881 48×36.5 ペン・淡彩
ハーグ時代 国営宝くじ売場 1882 38×57 水彩
種子をまく二人 31.5×21 鉛筆
杖をついて歩く女 57×32 鉛筆・ペン・茶色のインク・淡彩
白いボンネットをつけたシーン(左向きプロフィール) 47.5×26 鉛筆・石版画用黒チョーク・淡彩
コーヒーをすする身寄りのない男 49.5×28.5 石版用黒チョーク
杖を持つ身寄りのない男 50×30.5 鉛筆
シーンの娘 坐像(左向きのプロフィール) 1883 50.5×31 鉛筆・黒の石版用チョーク
女の頭部(正面) 39×24.5 鉛筆・黒の石版用チョーク・黒の淡彩
デッケルの砂丘の砂堀場 10.5×21 鉛筆
スヘフェニンヘンの穀倉と家並 1882 43.5×60 鉛筆・黒チョーク・水彩・白チョーク
ヌエネン時代 白い帽子をかぶった農婦の頭部 1885 45×36 油彩・カンヴァス
静物:茶碗、三本のびん、鉢 39.5×56
馬鈴薯を食べる人々 26.5×30.5 石版画
はたを織る人(織機の全容、左向き) 1884 33×44 水彩
材木の競売 33.5×44.5
はたを織る人(右向き、三つの窓のある室内) 33.5×45 水彩・ペン
はたを織る人(織機の全容、右向き) 27×40 鉛筆・ペン・茶色のインク
三人の女がいるヌエネンの牧師館の冬の庭 1883 28×20.5 ペン・インク
若い農夫の頭部(右向きプロフィール) 1885 35×21.5 鉛筆
三つの手の習作(そのうち二つはフォークを持つ) 20×33 黒チョーク
白い帽子をかぶった農婦(坐像、右向き) 35×21 鉛筆・ペン・茶色のインク
室内で裁縫をする農婦(左向き) 24.5×28.5 黒チョーク
室内で馬鈴薯の皮をむく農婦(前向き) 29×22.5
冬のトンヘルレの教会 1883 20.5×28.5 鉛筆・ペン・インク
沼池に立つ松の木 1884 34.5×44 ペン・インク
干草用三つまたを持つ農婦(右向き) 1885 49.5×40 黒チョーク
干草用三つまたを持つ農婦(後姿、背景に風車) 28.5×22.5 黒チョーク・ペンとインク
炉の傍に坐る農婦(左向き) 43×35 黒チョーク・淡彩
麦の束を拾い上げる農婦(前向き) 56.5×44.5 黒チョーク
土を掘る若い農夫(左向き) 44×30 黒チョーク・鉛筆・筆・インク
帽子をかぶった農夫(右への動きを示す) 41×51 黒チョーク
麦の束と風車が見える風景 44.5×56.5
掛け時計とスプーン掛けと木靴の習作 34.5×20.5
アントワープ時代 アントワープ 中央市場の広場 22.5×30
婦人の肖像 50.6×39.4 木炭・黒と赤のチョーク
パリ時代 静物:球根の入ったかご 1887 31.5×48 油彩
モンマルトルの菜園の眺め 43×80 油彩・カンヴァス
灰色のフェルト帽をかぶった自画像 44×37.5
日本趣味:大橋 あたけの夕立(広重による) 73×54
坐る女、カフェ・デュ・タンブランにて 55.5×46.5
静物:アプサント 46.5×33
自画像 41×33 油彩

題名 制作年 寸法(cm) 材質
ひばりのいる麦畑 1887 54×64.5 油彩・カンヴァス
コントラバス奏者 1886 22.5×34.3 緑のクレヨン
うららかな日の庭園の入口 1887 31.5×24 黒チョーク・水彩
椅子に坐る男(左向き) 1886 51×39.5 チョーク
二つの自画像および第3の未完の自画像 1887 31.6×24.1 ペン・インク・鉛筆
テュイルリー庭園 1886 11×20 鉛筆
アンヴァリッド(廃兵院)のドームが見えるパリの眺め 22.5×30 赤と黒と白のチョーク
クリシー通り 1887 39.8×54 ペン・インク・青とピンクと白のクレヨン
ムーラン・ド・ラ・ギャレット 39.8×54 鉛筆・青のクレヨン・ピンクと緑のパステル
モンマルトルの丘の眺望 1886 30.8×47.5 木炭・黒のクレヨン
ラ・ガンゲット 37.9×52.3 ペン・鉛筆
ひまわりが咲いたモンマルトルの丘の小屋 1887 30.5×23.9 鉛筆・ペン・青と緑の水彩

題名 制作年 寸法(cm) 材質
アルル時代 アルビーヌの丘陵を遠望する麦畑 1888 54×65 油彩・カンヴァス
果樹園、アルルの眺め 1889 50.5×65
サント・マリー・ド・ラ・メールの浜の小船 1888 64.5×81
カミーユ・ルーランの肖像 37.5×32.5
アルルのヴィンセントの家 23.5×31.5 チョーク・ペン・褐色インク・水彩
プロヴァンスの果樹園 39.5×54 葦ペン・インク
黄色い家に面した庭 25.5×34.5 鉛筆・葦ペン・褐色のインク
砂丘、渚、帆船の浮かぶ海 30.5×47.5 ペン・葦ペン・鉛筆
サント・マリー・ド・ラ・メールの三軒の小屋 30×47 鉛筆・葦ペン・褐色インク
夕陽の麦畑で種子をまく人 24.5×32 葦ペン
ひまわりの咲く花壇 60×48.5 鉛筆・葦ペン・褐色インク
アルルの病院の中庭 1889 45.5×59
花の咲く樹 1888 45.5×30.5 木炭・水彩
花咲く野辺 1888 25.5×34.5 鉛筆・ペン・褐色インク
ヒースの木立ちのある丘のスロープ 31×47.5 チョーク・葦ペン・菫色のインク
電柱とクレーンのある道 24×32 鉛筆・ペン・インク
管理人の小屋のあるカマルグの野 34.5×25.5 鉛筆・ペン・葦ペン・褐色インク
暖炉の右側の椅子 32.5×25 鉛筆・チョーク
“黄色い家”を背にした公園の中の池 31.5×49.5 鉛筆・葦ペン・褐色インク
サン・レミ時代 刈入れをする人(ミレーによる) 1889 43.5×33.5 油彩・カンヴァス
鋤と馬鍬(ミレーによる) 1890 72×92
静物:黄色い背景の花瓶のアイリス 92×73.5
オリーヴの木 1889 73×92.5
木々のある風景 47×60 鉛筆・葦ペン・インク
“されこうべ”の蛾 16×26 黒チョーク・ペン・褐色インク・淡彩
サン・ポール病院の玄関 61×47.5 黒チョーク・グワッシュ
サン・ポール病院の庭に立つ木、背景に人影一つ 47×62 黒チョーク・鉛筆・ペン・筆・褐色インク・水彩
丘陵の野草 47×62 葦ペン・褐色インク
雨の中で種子をまく人 1890 24×27.5 黒チョーク
松の木のある囲い地 1889 20.5×30 鉛筆
煉瓦塀の前に立つ一本の樹 30×20.5 鉛筆
馬車と二人の人物がいる道 1890 28.4×25.5 黒チョーク
食事をとる農夫たち 34×50
多くの人々のいる冬景色 24×32 鉛筆
手押車を押す人たちのいる風景 23.5×32
土を掘る農夫たちの六つのスケッチ 23.5×32 黒チョーク
種子をまく人の二つの習作と種子をまく右手の六つの習作 23.5×32 鉛筆・黒チョーク
暖炉を囲む農夫の一家 23.5×32 黒チョーク
オーヴェール・シュル・オワーズ時代 オーヴェールの城館 50×100 油彩・カンヴァス
マロニエの葉と豆の莢 24×31.5 黒チョーク
おらんだかいうの習作 31×41 ペン・葦ペン・褐色インク
木々の茂るオワーズ河畔 23.5×30.5 鉛筆・黒チョーク
鎌を持つ男 31×23.5 青チョーク
近景に農夫がいるオーヴェールの家 44.5×27 鉛筆・黒チョーク
樹間の家の風景 45×54.5 鉛筆・筆・青い水彩

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