ウィリアム・ケントリッジ——歩きながら歴史を考える
   そしてドローイングは動き始めた……


《流浪のフェリックス》のためのドローイング[フェリックスの部屋/望遠鏡を覗くナンディ] 1994年
《流浪のフェリックス》のためのドローイング
[フェリックスの部屋/望遠鏡を覗くナンディ] 1994年
木炭、パステル、紙  93×120cm  作家蔵  © the artist
 ウィリアム・ケントリッジ(1955南アフリカ共和国生、ヨハネスブルグ在住)は、1980年代末から、「動くドローイング」とも呼べるアニメーション・フィルムを制作しています。木炭とパステルで描いたドローイングを部分的に描き直しながら、その変化を1コマ毎に撮影する気の遠くなる作業により、絶えず流動し変化するドローイングを記録することで生まれる彼の作品は、独特の物語性と共に集積された行為と時間を感じさせる重厚な表現となっています。
 ケントリッジの作品は南アフリカの歴史と社会状況を色濃く反映しており、自国のアパルトヘイトの歴史を痛みと共に語る初期作品は、脱西欧中心主義を訴えるポストコロニアル批評と共鳴する美術的実践として、1995年のヨハネスブルグ・ビエンナーレや1997年のドクメンタ10などを契機に世界中から大きな注目を集めるようになりました。しかし私たちは、その政治的外見の奥で、状況に抗する個人の善意と挫折、庇護と抑圧の両義性、分断された自我とその再統合の不可能性などの近代の人間が直面してきた普遍的な問題を、彼の作品が執拗に検証し語り続けていることに注目すべきでしょう。「石器時代の映画制作」と自称する素朴な制作技法に固執しながら、ケントリッジは近代の物語生成の原点を、そしてヨーロッパ植民地主義の病理の原点を作品を通じて探求しているのです。精緻なセル画アニメやCGが主流である現代のアニメーション制作の状況の中で、ケントリッジの素朴な技法は対極に位置していますが、強靱な知性に支えられた力強い表現は、ドローイングのコマ撮りアニメーションが未だに有力な表現手法となり得ることを証明しており、1990年代中頃からその作品は、世界中の若い世代の美術家たちに大きな影響を与え続けています。
 今回の展覧会は、京都国立近代美術館とウィリアム・ケントリッジとの3年間にわたる緊密な協同作業を経て実現されるもので、日本では初の大規模な個展となります。南アフリカの歴史を扱った初期の代表作《プロジェクションのための9つのドローイング》(1989–2003)から、ショスタコーヴィチのオペラ『鼻』を題材にした最新作の《俺は俺ではない、あの馬も俺のではない》(2008)まで、フィルム・インスタレーション4点を含む19点の映像作品と、36点の素描、63点の版画により、ウィリアム・ケントリッジという私たちの同時代の美術家の作品とその知的挑戦の全体像を紹介します。

※広島会場用に特設ページを掲載しました。こちらからご覧いただけます。



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関連イベント
ウィリアム・ケントリッジ レクチャー/パフォーマンス
「I am not me, the horse is not mine」

2009年9月4日(金)
午後7時〜8時(午後6時30分開場)
京都会館 第二ホール
入場無料、定員およそ700席
英語(日本語字幕付き)

友の会主催 関連レクチャー
「ウィリアム・ケントリッジを語る」

2009年10月9日(金)午後5時〜6時
京都国立近代美術館 講演室(1F)、展示室(3F・4F)
講師:河本信治(当館学芸課長)
観覧券が必要、先着30名


会期
平成21年9月4日(金)〜10月18日(日)

休館日
毎週月曜日
ただし、9月21日(月・祝)と10月12日(月・祝)は開館、10月13日(火)は休館

開館時間
通常の開館時間
 午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)

毎週金曜日の夜間開館日
 午前9時30分〜午後8時(入館は午後7時30分まで)

《俺は俺ではない、あの馬も俺のではない》より《同志鼻陛下》 2008年
《俺は俺ではない、あの馬も俺のではない》より《同志鼻陛下》 2008年
DVCAM、HDVをヴィデオに変換(スチール画像) 6分1秒
8つのプロジェクションによるフィルム・インスタレーション
京都国立近代美術館蔵  © the artist


主催
京都国立近代美術館
東京国立近代美術館

協力
広島市現代美術館

後援
南アフリカ共和国大使館



観覧料
  当日 前売り 団体(20名以上)
一 般 850 700 600
大学生 450 350 250
高校生、18歳未満 無料 無料 無料

前売券発売所:チケットぴあ・ファミリーマート(Pコード:688-804)
ローソン(Lコード:53465)ほか主要ガイド、コンビニエンスストアなど


関連リンク
キュレトリアル・スタディズ 03 ウィリアム・ケントリッジ
 Part I: 連続アーティスト・トーク (2008年9月 京都・東京)
 Part II: 新収蔵作品 (2008年11月・12月 京都国立近代美術館)


広報資料
プレスリリース  PDF形式(717KB)


(2009/07/01)


ポスター(B2判)


(2009/08/29)


ポスター(B3判)


(2009/08/29)


チラシ  PDF形式(2.85MB)



(2009/08/29)


巡回先
東京国立近代美術館  平成22年1月2日(土)〜2月14日(日)
広島市現代美術館  平成22年3月13日(土)〜5月9日(日)



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