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展覧会顔 絵画を突き動かすもの

顔 絵画を突き動かすもの

 顔はわれわれにとって最もなじみの深いイメージであり、絵画にとっても重要な主題として古来より多くの画家によって表現されてきた。今世紀に入り、伝統的な肖像画という役割が写真にとって代わられた後も、なおも顔は絵画の主要な主題として描き続けられ、抽象絵画が優勢となった今日においても多くの画家が顔という主題に執拗にこだわり続けている。
 顔を描くということはまなざしを向けるものが逆にまなざしを向けられることであり、一種の主体の分裂を誘起する。あまりにも明瞭であるがゆえに顔は日常性を越えた不気味な存在として我々を見返す。顔を描くという営みは決して自明ではなく、20世紀という時代が抱えた不条理や不安の表象と密接に関わっているように思われる。
 本展では「個の創出」「鏡の私」「仮面」「顔の崩壊と再生」「顔のかたち、おそろしい顔」「絵画の顔」という六つのセクションを設定して、20世紀絵画における顔の表現を多様な角度から概観することを試みる。ピカソ、マティスからデ・クーニング、リヒターまで45作家、98点の作品によって、絵画と顔の関係を探り、次の世紀に向かって絵画の新しい展望を開くことができればさいわいである。
 本展は東京国立近代美術館の1999(平成11)年度特別展として企画された。

会期
2月22日―3月20日(20日間)
入場者数
12,028人(1日平均481人)
共催
東京国立近代美術館
出品作品数
98点
カタログ
『顔 絵画を突き動かすもの』/26.0×19.0cm/200頁
編集:中林和雄、蔵屋美香(東京国立近代美術館)/発行:東京国立近代美術館
所収論文:「絵画と顔」中林和雄、「真正面からまじまじと」蔵屋美香
巡回先
国立西洋美術館

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