展覧会日本の前衛 Art into Life 1900―1940
日本の前衛 Art into Life 1900―1940
当館は開館間もない1965年に、「前衛絵画の先駆者たち」と題した展覧会を開催している。これは、前衛絵画の動向の紹介に照準を合わせたわが国でも最初期の企画であったが、すでに萬鐵五郎の絵画を西欧からの「単に形式的な模倣とだけ考えるわけにはいかない」として、いち早くわが国固有の自律的展開の重要性を問いかけてもいた。そしてこのたび企画された本展覧会では、さらにこの姿勢をおしすすめながら、当館がデザイン、工芸、建築、写真といったジャンルにも積極的に関与してきた背景をも考慮し、絵画のみならず、わが国「前衛」表現をより広範囲にわたる視野の中で再考しようと試みた。
具体的には、1934年に竣工し現存する三岸好太郎アトリエを「前衛」と「生活」という接点から導き出されたわが国におけるもっとも評価すべき作例と位置づけ、そのアトリエのほぼ原寸大再現をプロローグとし、「前衛」動向の温床としての白馬会への着目や「抽象」表現の問題、そして「バウハウスと日本」を巡る様相、「日本画」における「前衛」表現への意志など、西欧からの影響や受容という側面からだけではなく、わが国独自の展開という視点を重視した。加えて本展覧会では、これまでわが国「前衛」表現について語る際には不可欠だと思われる作家・作品紹介の場という立場を貫かず、当館が近年に開催した近代日本美術に関わる展覧会から得られた成果を取り込むことに主眼をおき、広く国内外から作品を集めて構成した。
またこれまで当館の特別展は、交換展として東京国立近代美術館に巡回していたが、同館が改修工事のため休館であり、水戸芸術館現代美術センターを第二会場として開催されたことも特筆しておきたい。
- 会期
- 11月23日―2000年1月23日(48日間)
- 入場者数
- 11,697人(1日平均244人)
- 出品作品数
- 297点
- カタログ
- 『日本の前衛 Art into Life 1900―1940』/26.0×17.5cm/321頁
編集:山野英嗣、池田祐子(京都国立近代美術館)/デザイン:西岡勉/発行:京都国立近代美術館
所収論文:「メタモルフォーゼ あいさつにかえて」ペーター・ハーン、「バウハウスにおける日本的感性の受容」クラウディア・デランク - 巡回先
- 水戸芸術館現代美術センター
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