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展覧会エディンバラの工芸

エディンバラの工芸

 本展では英国屈指の伝統と優れた教授陣によって知られたエディンバラ・カレッジ・オブ・アートの工芸部門を代表するベテランから若手まで21名の作家、60余点の作品を展示して、エディンバラの現代工芸の現況を紹介した。展示された作品は陶器やガラス、ジュエリーからテキスタイルまで多岐にわたり、ジャンルのみならず表現のうえでも伝統的で手堅い作品から新しい素材や技法を駆使した意欲的な作品、さらにはインスタレーションにいたる幅広い作品が展示され、スコットランドの現代工芸の多様性を印象づけた。
 特定のテーマを設定していないにもかかわらず、多彩な作品を横断していくつもの共通性が見受けられた。トニー・フランクスやサラ=ジェーン・セルウッドらの陶磁器、モーリーン・ホッジやジョアンヌ・ソロカのタペストリーからはスコットランドの風景や自然の息吹がうかがえ、染織やガラス、ステンドグラスにいたる様々な素材を彩る華やかな色彩はエディンバラの作家たちの多くが色彩を主要な造形言語として駆使していることを物語っている。またウィリアム・カークやドロシー・ホッグの装飾性を排したシンプルでストイックな銀器やジュエリーにプロテスタント文化の反映を認めることもできよう。抽象的でありながらなにかしらの風景を想起させる作風は土地との交感、風土性といった現代工芸の領域ではあまり顧みられることのない問題にいくつもの示唆を与えたように思われる。
 エディンバラは京都府と友好提携を結び、今回の展覧会はその記念事業の一環として開かれた。それぞれの国を代表する古都であり、ともに工芸が盛んな二つの都市の間では今後も美術に関連する提携事業が進められる予定である。

会期
8月13日―9月12日(27日間)
会場
京都国立近代美術館1階ロビー
入場者数
13,316人(1日平均493人)
共催
京都府、エディンバラ・カレッジ・オブ・アート、エディンバラ市
出品作品数
66点
カタログ
『エディンバラの工芸』/21.0×19.8cm/[56]頁
デザイン:ゾーイ・ステイブルス、エディンバラ・カレッジ・オブ・アート/発行:エディンバラ・カレッジ・オブ・アート
所収論文:「エディンバラの工芸」フィリパ・スワン

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