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展覧会粟辻博展―色彩と空間のテキスタイル―

粟辻博展―色彩と空間のテキスタイル―

 1929年、京都に生まれた粟辻博は京都市立美術専門学校を卒業後、大阪でのテキスタイル・デザインの経験を経て、1958年、東京にデザインスタジオを設立した。当時、テキスタイルは文様や図案といった発想に縛られ、デザイナーによる独創や革新の余地がほとんどなかった。欧米の鮮やかなテキスタイル・デザインに魅せられた粟辻は鮮明な色彩と大胆な模様を特色とする一連のデザインを発表し、日本のテキスタイル・デザインに新風を吹き込み、世界のトップレヴェルにまでその水準を押し上げるうえで大きな役割を果たした。当時製品化された多くのデザインは今見ても斬新で色あせることがない。
 さらに80年代以降、粟辻はテキスタイルにとどまらず、建築空間から照明器具、食器や家具にいたる幅広い分野で多彩なデザインを発表した。単なる装飾ではなく、表層(サーフェス)のデザインとして自らの仕事を位置づけ、デザインのみならず現代美術の領域とも共鳴しあう一連の空間造形、インスタレーションを手がけた。
 1995年に惜しまれつつ他界した粟辻の没後5周年に開催された本展覧会は粟辻の30年余に及ぶ活動を、テキスタイルを中心に初期絵画、プロダクトデザインから空間デザインにいたる約200点の多様な作品で回顧するものである。展示にあたってはテキスタイルという素材の可能性を探求した粟辻の意図に沿うべく、垂らす、包む、張る、遮るといった様々な手法を用い、作家自身の手によるインスタレーションや作家のアトリエの再現も試みた。

会期
5月16日―7月2日(42日間)
入場者数
10,692人(1日平均255人)
共催
日本経済新聞社
出品作品数
233点
カタログ
『粟辻博展―色彩と空間のテキスタイル―』/29.0×22.1cm/207頁
編集:京都国立近代美術館、日本経済新聞社/デザイン:株式会社粟辻デザイン、粟辻美早/発行:日本経済新聞社
所収論文:「粟辻博の新しさ」田中一光、「粟辻博展によせて」内田繁、「粟辻博の生みだしたデザイン」柏木博、「粟辻博における表面」尾﨑信一郎、「粟辻博の作品との三つの接点」内山武夫、「スライド・レクチュア再録 サーフェスとしてのテキスタイル」粟辻博
巡回先
目黒区美術館

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