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展覧会麻田鷹司展

麻田鷹司展

 創造美術や新制作協会日本画部、創画会で活躍し、日本国際美術展や現代日本美術展でも受賞するなど、若くして戦後の日本画壇に確固たる地位を築き、画壇を背負っていくことを期待されながら、58歳で急逝した麻田鷹司。早くも1999年その十三回忌を迎えたのを機に、没後始めての本格的な回顧展として開催されたのが本展である。
 風景画を描くようになってからは、1961年に離れた故郷京都とは全く異なる、荒々しい波が打ちつける岩壁や、ごつごつとした岩肌を露わにした険しい山など厳しく雄大な自然風景に惹かれて制作したが、1969年からは「京都」の連作を開始し、以後ライフワークとする。制作の理由は単なる郷愁の念によるものではなく、日本中を写生して回る中で、充実した風景の場が古来「名所」と呼ばれる場であったことに気付いた鷹司が「名所」中の「名所」である「京都」を描くことになったのは必然であったと言えるであろう。
 過去の様々な画家によって描きつくされ、もはや現代の画家にとっては何の魅力もなく、顧みられることもなくなっていた日本の「名所」を現代の眼で見直し、現代の技法、表現で描くことにより、歴史の共感の上にたつ自身の風景画―現代日本の風景画―を創造しようとした鷹司。創造美術の初入選作品から、最後の創画会出品作品に至るまでの代表作約90点を時代順に並べて見ることにより、その過程が鮮やかに浮かびあがった。
 なお本展は当館開催後、茨城県近代美術館、新潟県立近代美術館、練馬区立美術館へ巡回した。

会期
4月1日―5月7日(32日間)
入場者数
15,826人(1日平均495人)
共催
朝日新聞社
出品作品数
91点
カタログ
『麻田鷹司展』/29.7×21.2cm/163頁
編集:京都国立近代美術館、茨城県近代美術館、新潟県立近代美術館、練馬区立美術館、朝日新聞社/デザイン:株式会社エヌ・シー・ピー/発行:朝日新聞社
所収論文:「追想 麻田鷹司」内山武夫、「麻田鷹司の人と芸術」島田康寬、「画家は何を観てきたか―《小太郎落》をめぐる初期作品についての試論」野地耕一郎、「麻田鷹司、伝統と新生を希求して」横山秀樹、「麻田鷹司の京都」小倉実子
巡回先
茨城県近代美術館、新潟県立近代美術館、練馬区立美術館

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