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展覧会倉俣史朗の世界

倉俣史朗の世界

 1991年2月、その円熟期に56歳で急逝した倉俣史朗の25年間の業績を回顧する展覧会。
 倉俣史朗は1960年代後半から鮮烈なデザインの家具作品で注目され、1972年に毎日産業デザイン賞、1981年の第1回目本文化デザイン賞、1990年にフランス文化省芸術文化勲章を受賞するなど、その意欲的な制作は内外から高い評価を得ていた。また80年代にはポストモダン・デザインとして世界を震憾させたイタリアのデザイン運動メンフィスに参加するなど、同時代の最も先鋭的なインテリア・デザイナーの一人として世界のデザイン界で活躍した。彼はその家具の制作を「自分の思考の原点を確認する手段」「制約のない自主制作」「楽しめる逃避場所」と語っていた。決して常套的な日本趣味に走らず、知的で清楚でありながら豊かな情緒性を持つ彼のデザインは、倉俣個人の美意識を背景とした独創的な表現であった。倉俣史朗のデザインは、個人的でありながら世界のデザイン界の中できわめて同時代的な表現として評価され、内外から多くの共感を集めていた。
 インテリア・デザインを個人の精神世界の表現として解放し、世界の同時代のデザイン動向とデザイン哲学に少なからぬ影響を与えた倉俣史朗の回顧展は、世界のデザイン関係者から切望されていたものであった。こうした声を受けて組織されたこの展覧会は、彼の遺した家具や照明器具などの代表作約80点を集め、世界巡回展として組織された。倉俣の師であり友人であるイタリア・デザイン界の大御所エットレ・ソットサスが基本構想を練り上げた本展は、1996年の東京を皮切りに、ロサンゼルス、メキシコ、ニューヨーク、パリ、ウィーンなど世界各地の美術館を巡回した。内外の多くの人々に深い感銘を与えた倉俣史朗回顧展は、当館が世界巡回の最終の展示であった。

会期
6月29日―8月1日(30日間)
会場
京都国立近代美術館1階ロビー
入場者数
25,311人(1日平均844人)
共催
原美術館、倉俣史朗展開催実行委員会
出品作品数
82点
カタログ
『倉俣史朗の世界』/29.6×22.6cm/209頁
監修:田中一光/編集:合川通子、堀口勝信(原美術館)/デザイン:小島良平、長谷川信一郎/発行:財団法人アルカンシェール美術財団
所収論文:「戦士の休息」磯崎新、「史朗へ」エットレ・ソットサス、「倉俣史朗、あるいはあくなき純粋への欲望」横山正、「倉俣史朗へのオマージュ」フランシス・ブルクハルト、「倉俣史朗 紫の影」アンドレア・ブランジ
巡回先
原美術館

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