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展覧会京都の工芸[1910―1940]―伝統と変革のはざまに―

京都の工芸[1910―1940]―伝統と変革のはざまに―

 大正から昭和前期は、近代美術の大きな変革期であり、様々な革新運動や活動が積極的に展開された。工芸においても全国的な展開として1925年の「工芸済々会」、1926年の「无型」や「日本美術工芸会」の結成、1927年の「帝展」第四部設置や「実在工芸美術会」、「工人社」の結成などを見ても、伝統や因習といった社会的背景や技巧至上主義などから近代への変革期として、この時代はたいへん重要な時期であった。
 京都では1918年に設立された土田麦僊、小野竹喬ら青年日本画家による「国画創作協会」に触発されて1919年に楠部彌弍、八木一艸、道林俊正、河合榮之助、河村喜太郎らによって結成された、若き陶芸家たちの結社「赤土」、その延長としての「耀々会」の結成がまず挙げられる。1931年、五代・清水六兵衛を中心に結成された「五条会」、1927年の染織家たちの集まりである「彩工会」、明治に設立された漆の研究会である「京漆園」、陶芸の「遊陶園」、1916年設立の染織会「道楽園」の発展として1920年に設立された「時習園」、1907年設立の「佳美会」の延長として1924年に設立された「京都美術工芸会」、さらに「京都美工院」、また柳宗悦を中心とした「民藝」など意欲的な活動が次々と起こった。しかし一方では、伝統的な技巧を重んじる工芸も同時に存在した。さらに京都高等工芸学校、京都市美術工芸学校や京都市立京都市陶磁器試験場など教育・研究機関の果たした役割もたいへん重要であった。このような伝統と変革のはざまのなかで、各々のジャンルの作家たちは自らの理想を追い求め創作活動に励んだ。陶芸、漆芸、染織のジャンルによってその状況は異なり、現れ方も少しつつ違うが、革新を求める基本的な方向は同じであったといえよう。
 この展覧会は、京都の大正から昭和前期までの工芸の状況を、陶芸、漆芸、染織の作品約200点に資料を交えて展観することにより、京都における工芸の近代化の歩みと革新的な活動を検証し、さらに今日の工芸を考える一つの道標となることを企図したものであった。

会期
10月6日―11月23日(43日間)
入場者数
13,228人(1日平均308人)
共催
東京国立近代美術館
出品作品数
305点
カタログ
『京都の工芸[1910-1940] 伝統と変革のはざまに』/30.0×20.0cm/235頁
編集:松原龍一、小倉実子、川野朋子(京都国立近代美術館)/デザイン:大向務/発行:京都国立近代美術館
所収論文:「京都の工芸[1910―1940]」松原龍一
巡回先
東京国立近代美術館

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