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展覧会テキスタイルの発言:イギリスの今日

テキスタイルの発言:イギリスの今日

 本展覧会は、当館の1998(平成10)年度国際交流展そして英国祭UK98参加展覧会として、上記会期により開催された。
 出品作家の一人でもあるレスリー・ミラー女史によって企画され、イギリス国内6会場を巡回した後、多少作品の編成を変えて当館で開催された本展は、現在イギリスで活躍している作家16名の作品29点により構成された。
 従来の「工芸」という枠組みを越えたテキスタイル作品を、現代美術の動向の中に位置づける展覧会は今日数多く開かれているが、そのほとんどは、日常生活の実用に適うよう職人的熟練技術によって制作された応用芸術が実用目的から自立し、いかに作家本人のコンセプトを打ち出すかを自己目的化した純粋芸術にどれほど近づいているか、またいかに近づこうとしているか、といった観点から企画されているように思われる。そしてこの観点は、応用芸術と純粋芸術という二項対立を明確に意識化した、19世紀アーツ・アンド・クラフツ運動の時代から私たちを呪縛しているものでもあろう。
 それに対し本展は、現代美術の展開そして今日の動向に、テキスタイルが持つ素材の多様さそしてそれを支える技術が、いかに寄与し、不可欠なものとなっているかを示す試みとして企画された。絹や麻といった伝統的素材から、合成皮革や特殊繊維などの最新素材や髪の毛にいたるまでの素材の多様さは、本展の大きな特徴であり、また腸纈染や手編み、ミシン縫やキルトといったテキスタイル固有の技術に電気メッキなどの新たな加工が施され、作品は実に多様な様相を見せていた。その上でさらに身体やジェンダー、環境問題をめぐる作家個人のそして時代の考えを発言する作品群は、とりわけ若いテキスタイル作家たちに大きな示唆を与えるものとなった。

会期
6月23日―7月26日(30日間)
会場
京都国立近代美術館1階ロビー
入場者数
14,763人(1日平均492人)
出品作品数
29点
カタログ
『テキスタイルの発言:イギリスの今日』/21.5×14.0cm/91頁
編集・発行:京都国立近代美術館/デザイン:西岡勉
所収論文:「はじめに」ペニナ・バーネット、「テキスタイルの意味―媒体として、メッセージとして」ジェニファー・ハリス、「テキスタイルの発言/REVELATIONについて」レスリー・ミラー

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