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展覧会新収蔵品展 1993―1997

新収蔵品展 1993―1997

 当館では、1986年に現在の新館が完成して以来、4階に常設展示会場を設け、随時所蔵作品を公開してきた。一年間に約10回の展示替を行い、できる限り多くの作品を来館者に紹介するよう努力はしているものの、所蔵作品の総数が約5800点にのぼる現在、なかなか十分な展示活動を行うことはでさない。また当館は、1993年の春に創設30周年を迎え、それを記念して「近代の美術」「世界の工芸」という二つの大規模な所蔵作品展を開催したが、その後に収集した作品も実に884点を数えるに到っている。そのため本展は、「新収蔵品展1993―1997」として、1993(平成5)年度から1997(平成9)年度にかけて収蔵した作品を紹介するために企画された。
 この5年間に収集した作品の内訳は、日本画131点、油彩画65点、水彩画16点、素描124点、版画77点、陶芸40点、漆工7点、金工3点、染織42点、彫刻14点、写真307点、資料36点、その他22点となっている。またこれらの作品は、購入したものが188点、寄贈されたものが688点、文化庁から管理換となったものが8点、である。収蔵作品の70パーセントが寄贈作品で占められていることになり、そのことが当館所蔵品の大さな特徴となっている。
 本展覧会は、これらの作品の中から、1997年夏に「館所蔵世界の近代写真」展で2回に分けて紹介した写真作品を除いた269点で構成された。当館のコレクションは絵画作品から工芸作品、写真など幅広いジャンルにわたり、訪れる人々にさまざま角度から芸術にアプローチができる環境を提供している。それは、長年にわたるさまざまな人々の温かい支援により培われてきた。中には、非常に痛んだ状態で発見され、調査・修復を経てようやく展示することができるようになった作品も存在する。本展の実現は、寄贈者をはじめとして、当館の収集活動に対する理解と尽力を惜しまれなかった人々によって可能となった。
 常設展示活動を含む所蔵作品をめぐる取り組みは、企画展と比較して一般に、来館者から、ときに美術館側からも、軽んじられているように見える。しかし収集から展示にいたる活動が、長年にわたる地道な努力を必要とし、美術館の根幹としていかに重要であるかを発信した本展の意義は大きい。

会期
3月10―3月31日(24日間)
入場者数
8,288人(1日平均345人)
出品作品数
269点
カタログ
『新収蔵品展 1993―1997』/29.6×20.9cm/21頁
編集・発行:京都国立近代美術館/デザイン:大向務

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