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展覧会生誕100年記念―豊田勝秋展

生誕100年記念―豊田勝秋展

 当館では、開館以来日本の近代工芸に焦点をあて、多くの展覧会を開催してきた。この展覧会は近代日本の金属工芸の分野で、重要な役割を果たした豊田勝秋の生誕100年を記念して開催。また本展は国公私立美術館連繁企画展として、財団法人石橋美術館別館、高岡市立美術館に巡回した。
 豊田勝秋は1897年に福岡県久留米市に生まれた。1915年父の承諾を得ぬまま上京し東京美術学校鋳造科を受験、首席合格を果たした。そして鋳造科教授、津田信夫のもとで学び、金属工芸の道を歩み始めた。1924年東京高等工芸学校講師として奉職し、後進の指導に当たり、1926年には鋳金の高村豊周、漆芸の山崎覚太郎、染織の広川松五郎ら、21名のモダニストたちと工芸グループ无型(むけい)を創設し旧来の様式にとらわれない感覚的、構成的な活動を行い工芸界に大きな影響を与えた。
 1926年には津田信夫、赤塚自得を中心に高村豊周、広川松五郎、藤井達吉らが集まって設立された日本工芸美術会や1927年、帝展に第四部(工芸)部門の創設に尽力し、以後帝展、文展、日展と活躍した。1933年に无型が解散、2年後の1935年、帝展の大作出品への牽制と実用を離れた虚飾に対する批判として、用即美を唱え、工芸のジャンルを固定せず公募形式をとった実在工芸美術会設立に参加した。
 第二次世界大戦中に久留米に戻り、戦後は福岡県美術協会副会長、1954年に佐賀大学教育学部教授等、九州の工芸全般に指導的役割を果たし重鎮として後進の指導と創作活動をくりひろげた。
 展覧会の構成は東京美術学校在学時代の卒業制作から晩年までの出品作品を中心に46点陳列。その他、陶芸作品や今まで未公開であった作品鋳造以前の図面、スケッチも出品され、豊田勝秋の創作と生涯を回顧するとともに再評価する展覧会であった。

会期
2月3日―3月1日(24日間)
会場
京都国立近代美術館1階ロビー
入場者数
4,197人(1日平均175人)
共催
石橋美術館別館、高岡市美術館
出品作品数
46点
カタログ
『生誕一〇〇年記念―豊田勝秋展』/30.2×19.2cm/128頁
編集:松原龍一(京都国立近代美術館)/デザイン:西岡勉/発行:石橋美術館別館、京都国立近代美術館、高岡市美術館
所収論文:「豊田勝秋をめぐる工芸動向・大正から昭和初期にかけて」松原龍一、「豊田勝秋のこと」橋富博喜、「无型と北陸の工芸」武沢喜美子
巡回先
石橋美術館別館、高岡市美術館

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