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展覧会土田麦僊展 日本画の偉才―清雅なる理想美の世界

土田麦僊展 日本画の偉才―清雅なる理想美の世界

 本展覧会は、全身全霊を近代日本画創造に捧げた土田麦僊(1887―1936)の30年余の画家生活を回顧する展覧会であり、初期から晩年までの作品と画稿類を合わせて150点余りの作品が展示された。
 土田麦僊(1887―1936)は新潟県佐渡の新穂村に生まれた。16歳の時に故郷佐渡より京都に出て鈴木松年、さらに竹内栖鳳に師事し、四条派の伝統的写生に西洋の絵画の写実性を融合させた画風を身につけた。また雑誌『白樺』などによって紹介された後期印象派の絵画に大きな示唆を受けるとともに、桃山障壁画、江戸初期風俗画、宋・元の院体花鳥画を研究しながら個性を高らかに謳う作品を発表した。しかし、こうした作品に対する当時の文展の評価に疑問を感じた麦僊は1918年、小野竹喬、榊原紫峰らと国画創作協会を結成して、西洋美術と日本画の適合を課題に新しい日本画家の可能性を求めた。1921―23年のヨーロッパ遊学後は、イタリア・ルネッサンス期の絵画や西洋の近代絵画と日本の古画、中国宋元の絵画などを融合した独自の清新で優雅な画境を展開していった。1928年、国画創作協会解散後は、それまでの華麓な様式美の世界から一転し、線と色彩の美を示す北宋から南宋初期の絵を研究し精神的な深まりを追求していった。
 このような49年という短い生涯を駆け抜けた麦僊の画業と軌跡、さらには新しい日本画を追求し近代日本画に及ぼした影響を考察できる展覧会であった。

会期
10月28日―11月30日(30日間)
入場者数
31,077人(1日平均1,036人)
共催
東京国立近代美術館、日本経済新聞社
出品作品数
149点
カタログ
『土田麦僊展』/28.0×22.5cm/195頁
編集:内山武夫、本江邦夫、尾﨑正明(東京国立近代美術館)/デザイン:印象社/発行:日本経済新聞社
所収論文:「土田麦僊―清雅なる理想美の世界」内山武夫、「大正期芸術思潮の中の麦僊」島田康寬
巡回先
東京国立近代美術館

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