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展覧会宿命の画家―土着と前衛のはざまに― 萬鐵五郎展

宿命の画家―土着と前衛のはざまに― 萬鐵五郎展

 わが国の前衛絵画創造の旗手である萬鐵五郎の没後70年を記念して、その個性的な活動の全容を紹介する展覧会を東京国立近代美術館、並びに画家の郷里にあって多数の代表作を所蔵する岩手県立博物館との共同企画で開催した。
 いうまでもなく萬鐵五郎の活動の地は、東京、郷里の岩手県土沢、そして神奈川県茅ヶ崎という関東以北に限られ、これまで西日本でまとまった萬の美作品を目にする機会はほとんどなかった。その意味でも、近代美術史上重要な位置を占めるこの画家の関西での回顧展の開催は待ち望まれていたものであり、「画家と風土」といった視点を再考する上でも、今回の京都での開催は意義深いといえるだろう。
 本展集会では、時代を追ってこの画家の仕事を「Ⅰ.東京時代1904―1914」「Ⅱ.土沢時代1914―1919」「Ⅲ.茅ヶ崎時代1919―1927」と制作活動の拠点の地に従いながら分けてみたが、それによっていかにこの画家に風土の影響が色濃く反映しているかが強く印象づけられた。そして、抽象表現やキュビスムの受容における、カンディンスキーとキュビスムとの混合やモダニズムと土俗性の関連、さらには南画の制作時期の確定など、まだまだ萬をめぐる数多くの未解決の問題点が潜んでいることも判然とした。

会期
5月20日―6月29日(36日間)
入場者数
16,751人(1日平均465人)
共催
朝日新聞社
出品点数
268点
カタログ
『絵画の大地を揺り動かした画家 萬鐵五郎展』/28.0×22.5cm/265頁
編集:市川政憲、蔵屋美香、尾﨑正明(東京国立近代美術館)、田中淳(東京国立文化財研究所美術部)/デザイン:桑畑吉伸/発行:朝日新聞社
所収論文:「序論」田中淳、「萬鐵五郎と大正期の『表現」』」市川政憲、「萬鐵五郎における南画」島田康寬
巡回先
東京国立近代美術館、岩手県立博物館

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