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展覧会京都の日本画 1910-1930 -新館開館記念特別展-

京都の日本画 1910-1930 -新館開館記念特別展-

 京都の日本画は今世紀の初め、つまり明治30年代半ばに、円山・四条派の写生の伝統に、西洋絵画の写実性を融合することによって、近代絵画への第一歩を踏み出した。その後、明治時代も末の1910年頃からさらに新しい展開を見せ始めるが、それは、フランス留学からの帰国者や雑誌『白樺』による印象派以降の新しい美術思潮の紹介に刺戟され、自我に目覚めた新進日本画家たちによる、新しい日本画を求める動きとして具体化し始めたのであった。彼らは西洋の新しい美術だけでなく、ルネサンス期などの古美術や東洋の優れた伝統絵画をも探り、近代絵画としての日本画を模索した。彼らの追求は単に造形面だけに止まらず、芸術と人生についての内省を伴なう、新しい「生」を求める青春の彷徨でもあった。

 大正7年(1918)に土田麦僊、小野竹喬、榊原紫峰、村上華岳らによって結成された国画創作協会の活動は、こうした大正期の動きのなかでも、最も純粋なもので、彼らの新日本画追求の真摯な姿勢は同協会に集った若い画家たちはもとより、官展に出品する新人たちにまで影響を及ぼし、さらには大家や中堅をも刺戟した。大正期の京都の日本画壇は自由な時代の雰囲気のなかに、個性の花が咲き競う、革新と創造の時期にあったといえるだろう。

 本展は明治末、昭和初期を含めて、こうした大正期の京都の日本画壇に焦点をあて、約60名の画家の、ポンピドー・センター近代美術館とボストン美術館所蔵の作品をも含めた約150点の名作や問題を提起した作品によって、その動向を示そうとするものであった。

 新館の開館記念展ということもあって多くの観覧者があり、彼らの新日本画追求の熱気とその新鮮な試みが改めて強い感動を引き起し、現在の日本画家をはじめとする多くの芸術家に多大の示唆を与えることができた。

 なお、本展は当館閉会後、東京国立近代美術館に巡回展示した。

会期
10月26日(日)~12月7日(日)
入場者数
総数 53,919人(一日平均 1,348人)
出品目録
作者名 作品名 制作年 材質・形状 寸法(cm)
竹内栖鳳 絵になる最初 1913 絹本着色・軸装 183.2×55.9
斑猫 1924 絹本着色・額装 81×101
蹴合 1926 123×141.5
古城松翠 紙本着色・軸装 74.6×81.8
都路華香 良夜 1912 紙本墨画・軸装 178.3×77.7
静波の図 大正中期 絹本着色・軸装 139.4×50.7
白雲紅樹 134.9×49.9
山元春挙 雪景図 c.1922 紙本着色・額装 166.6×92.1
秋の日 c.1929 絹本着色・額装 150×57.2
上村松園 お万の図 1915 絹本着色・軸装 116×41.5
楊貴妃 1922 絹本着色・屏風(二曲一隻) 161×189
待月 1926 絹本着色・軸装 193.2×92.8
西村五雲 1926 絹本着色・軸装 47.7×57
深山頬白 c.1928 65.7×71.3
木島桜谷 行路難 1922 絹本着色・屏風(二曲一双) 170×185
伊藤小坡 洗濯の女 c.1922 絹本着色・額装 222.8×102.8
秋草と宮仕へせる女達 1928 絹本着色・衝立 115×166.3
冨田溪仙 1917 絹本着色・屏風(六曲一双) 176×374
祇園夜桜 1921 絹本墨画着色・軸装 48.3×70.8
八瀬の春・小原の秋 絹本着色・屏風(二曲一双) 166.9×184.8
菊池契月 夕至 1918 絹本着色・軸装 216×101.5
少女 1920 157×101.5
1921 190×114.2
1929 紙本淡彩・軸装 171×94.5
西山翠嶂 1920 絹本着色・額装 204.5×129.5
錦祥女 1921 絹本着色・軸装 221.5×84.5
槿花 1923 129×85
神阪松濤 椿 大正中期 絹本着色・額装 118.5×86
落照 1921 紙本着色・額装 103.5×95.3
蹴上風景 大正中期 絹本着色・額装 155×144
橋本関雪 峽江の六月 1915 絹本着色・屏風(六曲一双) 168.4×377.4
僊女 1926 絹本着色・額装 280×171
瀟湘 1929 紙本墨画淡彩・額装 102×89
石崎光瑤 熱国妍春 1918 絹本着色・屏風(六曲一双) 175.4×372
不動立山 朝雨のあと 1922 絹本着色・屏風(二曲一隻) 120.6×177
夕立 1930 絹本着色・額装 233.5×174.8
土田麥僊 1911 絹本着色・軸装 79.6×85.8
大原女 1915 紗金地着色・屏風(四曲一双) 175.8×374.4
湯女 1918 絹本着色・屏風(二曲一双) 197.5×199
舞妓(習作) 1924 紙本着色・額装 64.2×45.1
舞妓林泉 絹本着色・額装 218×102.3

作者名 作品名 制作年 材質・技法 寸法(cm)
土田麥僊 芥子 1926 絹本着色・軸装 196.5×105
朝顔 1929 絹本着色・額装 60.2×71.5
明粧 1930 184.1×97.2
秦テルヲ 女郎(花骨牌) 1913 43×115.5
血の池 1919 麻本着色・額装 60×91
女たち c.1919 72.7×100
眠れる児 c.1923 62.5×91.8
入江波光 振袖火事 1913 絹本着色・屏風(二曲一隻) 158.5×174.5
臨海の村 1919 絹本着色・屏風(二曲一隻) 173×157.5
彼岸 1920 絹本着色・屏風(三曲一隻) 181×224
南欧小景(聖コスタンツア寺) 1922 絹本着色・軸装 38×42.5
蒼林 1923 35.5×42
杏咲く頃 1926 47.6×56.3
榊原紫峰 南園の一隅に於ける曲と眠り 1912 絹本着色・屏風(四曲一双) 160.2×242.8
静物の図(盛花) c.1923 絹本着色・軸装 69.7×85.1
1926 183.2×213
冬朝 1928 絹本着色・屏風(二曲一双) 173.4×273.6
村上華岳 夜桜 1913 絹本着色・屏風(二曲一隻) 142.8×160
日高河清姫図 1919 絹本着色・軸装 143×55.3
裸婦図 1920 絹本着色・額装 161.5×108
秋林 1921 絹本着色・軸装 49.2×57
説法の図 1924 49.2×34.6
松山雲烟 1926 絹本着色・額装 46.4×140
野長瀬晩花 被布着たる少女 1911 114.4×135
島の女 1916 紙本着色・軸装 145.3×51.7
スペインの田舎の子供 1924 寒冷綿本着色・屏風(二曲一隻) 110×136
水汲みに行く女 1925 錦本着色・屏風(二曲一隻) 167×185
小野竹喬 風景(南国改題) 1911 絹本着色・軸装 68.2×67.9
島二作(早春・冬の丘) 1916 紙本着色・軸装(双幅) 150×50

作者名 作品名 制作年 材質・技法 寸法(cm)
小野竹喬 村道(「北国の田舎道」改題) 1923 紙本着色・屏風(二曲一隻) 117.4×112
八瀬村頭 1926 紙本着色・屏風(二曲一隻) 118.5×112
森谷南人子 麗艶 1913 絹本着色・軸装 166.5×112.3
快晴 1918 絹本着色・額装 102.8×144
山下摩起 ユウカリの図 1913 絹本着色・屏風(二曲一隻) 153.7×171.2
吹田草牧 真鶴の二月 1920 絹本着色・屏風(四曲一双) 169.6×276.6
ポジリポの漁家 1923 絹本着色・額装 72.5×88
醍醐寺泉庭 1928 絹本着色・屏風(二曲一隻) 168×220
登内微笑 奈良の作(末社の山・不退寺・春日若宮) 1920 紙本着色・額装(3面) 96×93.5
堂本印象 深草 1919 紙本着色・屏風(二曲一隻) 165×186
訶梨帝母 1922 絹本着色・額装 225×292
1927 168×187
不染 鉄 山海図絵 1925 186×210
金島桂華 1918 紙本着色・屏風(二曲一双) 170×184
芥子 1925 紙本着色・屏風(四曲一隻) 182×352
福田平八郎 安石榴 1920 絹本着色・額装 208.5×108
牡丹 1924 絹本着色・屏風(二曲一隻) 164×288.5
朝顔 1926 絹本着色・屏風(六曲一隻) 170×312
●本一洋 流るる悲歌 1916 絹本着色・屏風(四曲一隻) 168×339
七夕踊り 1918 166.8×271.2
三宅凰白 楽屋風呂から 1915 絹本着色・屏風(二曲一隻) 169×173.2
谷角日娑春 c.1916 絹本着色・軸装 142×57.4
寵人 1929 絹本着色・額装 176×115.1
岡本神草 口紅 1918 絹本着色・屏風(二曲一隻) 135.9×137.4
挙を打てる三人の舞妓の習作 1920 絹本着色・軸装 95.5×108
甲斐庄楠音 横櫛 1918 絹本着色・額装 164.5×71.4
裸婦 c.1921 65×38.6
舞ふ 1924 130.5×89
金田和郎 水蜜桃 1918 絹本着色・屏風(二曲一隻) 168×186
葡萄図 1919 絹本着色・屏風(四曲一隻) 172.5×395.5
前田荻邨 風景 絹本着色・軸装 82.3×86.5
板倉星光 王妃 1921 絹本着色・額装 226×86.2
花摘 1925 絹本着色・屏風(二曲一隻) 209.7×176
榊原始更 木屋町夜景 1917 絹本墨画着色・額装 53.2×40.9
波切風景 c.1919 油彩麻布・額装 74.7×90
1929 絹本着色・額装 39.5×43.7
木村斯光 花魁 1921 127×42
立華 1925 絹本着色・屏風(四曲一隻) 170.5×258
池田遥邨 颱風来 1921 絹本着色・屏風(二曲一隻) 144×142
伐られた株 1923 絹本着色・額装 41.5×51.5
丘の道 1923
林丘寺 1926 絹本着色・屏風(二曲一隻) 146×142
伊藤柏台 松並木 1919 148.5×135.6
花園附近 紙本墨画淡彩・額装 60.5×37.5
六地蔵附近 c.1919 紙本鉛筆・額装 47×62
嵯峨路 大正中期 絹本コンテ着色・軸装 136×93
伊藤草白 1918 絹本着色・屏風(二曲一隻) 109.7×139
粥川伸二 妖影 1924 絹本着色・額装 139×165.5
長崎懐古紅毛人遊興図 1926 33.6×42.7
徳岡神泉 芥子 1924 67×42.5
後苑雨後 1927 193×150.5
宇田荻邨 夜の一力 1919 絹本着色・屏風(二曲一隻) 139.5×136.8
太夫 1920 195×179
巨椋の池 1924 194×163.6
勝田 哲 お夏 1926 絹本着色・軸装 228×150
梶原緋佐子 暮れゆく停留所 1918 紙本着色・額装 189×83
山代温泉の女 c.1921 129×83
稲垣仲静 鶏頭 c.1918 絹本着色・屏風(二曲一隻) 104×146
軍鶏 1919 紙本着色・軸装 160×68
太夫 c.1919 絹本着色・額装 65×55
c.1921 絹本着色・軸装 63.7×54
玉城末一 宇吉 1926 絹本着色・額装 136×63
堀井香坡 雷鳴 1917 絹本着色・軸装 174×93.2
春のよひ 1922 絹本着色・屏風(二曲三隻) 182.3×235.3
中村大三郎 燈籠のおとど 1922 絹本着色・軸装 241.5×146.6
婦女図 1925 絹本着色・額装 163.8×159.4
岡村宇太郎 暴風雨の後 1920 72×91.8
日没頃 1924 73.5×95
山口華楊 葉ざくら 1921 絹本着色・屏風(四曲一隻) 169×273
多田敬一 海ぞいの村 1926 絹本着色・額装 161.5×196
杉田勇次郎 海近く 1920 絹本着色・屏風(四曲一隻)
石川晴彦 1923 絹本着色・衝立 71.5×49.5
自画像 1924 絹本着色・額装 36×22.5
山茶花を持てる女 1926 83.9×65.6
上村松篁 蓮池群鴦 1928 絹本着色・額装(二面) 215×101.5
小松 均夕 夕月 1926 絹本着色・額装 120×123
八瀬 1928 紙本着色・屏風(二曲一隻) 120.5×139.5
徳力富吉郎 人形 1927 絹本着色・額装 39.5×51.4
初冬 1928 絹本着色・屏風(二曲一隻) 144×162

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毎日/10月30日(夕) 島田康寛
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新美術新聞 11月1日 島田康寛
ソフィア ’87 1月号
アート ’87冬号 秦恒平、海野弘、堀浩哉、島田康寛
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月刊京都 ’86 12月号
京都画廊連合会ニュース ’86 11月号
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