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展覧会モネ展

モネ展

 クロード・モネ(1840~1926)が第1回印象派展に出品した「印象・日の出」という作品に印象派の呼称が由来することは周知である。眼前の事実だけを描くことを主張したクールベの写実主義の理念をさらに押しすすめて、刻々と移り変る自然の諸相をありのままに描き出そうとするモネらの念願は、ヨーロッパ絵画にひとつの革命をもたらすことになった。自然科学の発達と呼応するように、外光の採用と筆触分割という光学的方法の応用によって、彼らはまばゆいばかりの光と色彩の調和を画面にもたらしたが、その成立と展開に最も重要な役割を果したのがモネであった。

 モネは、他の多くの印象派の画家同様、日本の浮世絵版画に強く影響されたが、美術や文物を通じて知った日本に限りない憧憬を抱き、ジヴェールニーの自宅に日本式の庭園を作り、池に太鼓橋を架けて藤を這わせ、睡蓮を咲かせたことは有名である。印象派の歴史そのもののようなモネの生涯であったが、この庭は、後期のモネに最も重要なモティーフを提供し、単に印象主義の枠を越えて次の時代に大きな影響を残すことになった。カンディンスキーに抽象絵画への着想を与え、色彩のシンフォニーを思わす晩年の表現主義的傾向の作品は、第二次世界大戦後アメリカに興った抽象表現主義の画家たちに注目され賞讃されたのである。本展はそうしたモネの芸術を改めて回顧すべく企画されたもので、モネの作品の最大のコレクションのひとつであるマルモッタン美術館ほかから集められた68点の油彩画によって構成された。

 本展は、モネと交友のあった松方幸次郎のコレクションを所蔵する西洋美術館において開催後、当館において開催した。

会期
12月8日(水)~58年1月30日(日)
入場者数
総数 168,344人(1日平均4,208人)
共催
国立西洋美術館
読売新聞大阪本社
読売テレビ放送
後援
外務省 文化庁 フランス大使館
近畿各府県・6市教育委員会
出品目録
題名 制作年 材質 寸法(cm) 備考
並木道(サン=シメオン農場の道) 1864 油彩・カンバス 82×46 国立西洋美術館
庭に立つ婦人 1866 油彩・カンバス 80×99 レニングラード・エルミタージュ美術館
サンタドレスの小屋 1868 油彩・カンバス 43×65  
花と果物 1869 油彩・カンバス 100×80  
トルーヴィルの浜にて 1870 油彩・カンバス 38×46  
ルーアンの船 1872 油彩・カンバス 47×56  
アルジャントゥイユのセーヌ川 油彩・カンバス 51×65  
日の出、海 1873 油彩・カンバス 49×60  
印象、日の出 油彩・カンバス 48×63 パリ、マルモッタン美術館
橋より見たアルジャントゥイユの舟だまり 1874 油彩・カンバス 62×81  
雪のアルジャントゥイユ 1875 油彩・カンバス 55×65 国立西洋美術館
雪の中の汽車 油彩・カンバス 59×78 パリ、マルモッタン美術館
ラ・ジャポネーズ(日本娘) 1876 油彩・カンバス 231×142 ボストン美術館
テュイルリー庭園 油彩・カンバス 54×73 パリ、マルモッタン美術館
グラジオラス 油彩・カンバス 60×81 デトロイト、インスティテュート・オヴ・アーツ
七面鳥 油彩・カンバス 172×175 パリ、オルセ美術館
狩猟 油彩・カンバス 170×137  
舟のアトリエ 油彩・カンバス 54×65 ヌシャテル、美術歴史博物館
ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅 1877 油彩・カンバス 64×81 パリ、マルモッタン美術館
木の間ごしの春 1878 油彩・カンバス 52×63
ヴエトゥイユの眺め、冬 1879 油彩・カンバス 60×81  
ラ・ロシュ=ギュイヨンの道 1880 油彩・カンバス 59×72 国立西洋美術館
アンドレ・ローヴレの肖像 油彩・カンバス 46×38  
ジャン・モネの肖像 1880 油彩・カンバス 46×37 パリ、マルモッタン美術館
プールヴィルの税関吏の小屋、曇り空 1882 油彩・カンバス 60×73  
プールヴィルの税関吏の小屋、波立つ海 油彩・カンバス 58×81  
プールヴィルのシー川 油彩・カンバス 60×81  
白いけし 1883 油彩・カンバス 128×37  
ダリヤ 1883 油彩・カンバス 128×37  
アネモネ 油彩・カンバス 16×39.5  
エトルタの落日 1885 油彩・カンバス 50×61  
ベレー帽をかぶった自画像 1886 油彩・カンバス 56×46  

題名 制作年 材質 寸法(cm) 備考
ポリーの肖像 1886 油彩・カンバス 74×53 パリ、マルモッタン美術館
本を読むシュザンヌと絵を描くブランシュ 1887 油彩・カンバス 97×130  
舟遊び 油彩・カンバス 145×132 国立西洋美術館
青い小舟 油彩・カンバス 109×129  
小舟 油彩・カンバス 146×133 パリ、マルモッタン美術館
アンティーブ湾 1888 油彩・カンバス 65×92  
ジヴェルニーのポプラ並木 1891 油彩・カンバス 92×73 熱海、MOA美術館
陽を浴びるポプラ並木 油彩・カンバス 92×73 国立西洋美術館
ルーアン大聖堂、朝 1893 油彩・カンバス 110×73 バーゼル、バイエラー画廊
雪中の家とコルサース山 1895 油彩・カンバス 65×92  
波立つプールヴィルの海 1897 油彩・カンバス 73×100 国立西洋美術館
ジヴェルニー付近のセーヌ川の朝 油彩・カンバス 73×92  
ジヴェルニーの蕁麻の島 油彩・カンバス 73×92 バーゼル、バイエラー画廊
ウォータール橋、ロンドン 1902 油彩・カンバス 65.5×100.5 国立西洋美術館
チャーリングクロス橋、ロンドン 1903 油彩・カンバス 65×81  
国会議事堂、ロンドン 1905 油彩・カンバス 81×92 パリ、マルモッタン美術館
睡蓮、夕べ 1907 油彩・カンバス 100×73  
ジヴェルニーの春 c.1907~9 油彩・カンバス 90.2×90.3  
サンタ・マリア・デルラ・サルーテ聖堂と大運河、ヴェネツィア 1908 油彩・カンバス 72×91  
パラッツォ・ドゥカーレ、ヴェネツィア 油彩・カンバス 79.5×92  
サンタ・サルーテ運河、ヴェネツィア 油彩・カンバス 81×65  
サンタ・サルーテ運河、ヴェネツィア 油彩・カンバス 100×65  
睡蓮 1916 油彩・カンバス 200×200 国立西洋美術館
睡蓮 c.1917 油彩・カンバス 200×201 パリ、マルモッタン美術館
睡蓮 油彩・カンバス 130×132
睡蓮 1918 油彩・カンバス 131×197 熱海、MOA美術館
ジヴェルニーの池 1917~18 油彩・カンバス 138.5×149  
睡蓮 1917~21 油彩・カンバス 200×180 パリ、マルモッタン美術館
睡蓮 1919 油彩・カンバス 99×92 バーゼル、バイエラー画廊
しだれ柳 1919 油彩・カンバス 100×102 パリ、マルモッタン美術館
しだれ柳 1920~23 油彩・カンバス 110.5×100  
睡蓮とアガパンサス 油彩・カンバス 140×120 パリ、マルモッタン美術館
アイリス C.1920~23 油彩・カンバス 200×150  
ジヴェルニーの太鼓橋 c.1923 油彩・カンバス 89×100 パリ、マルモッタン美術館
ジヴェルニーの太鼓橋 油彩・カンバス 89×116
ジヴェルニーのばらの小径 1923~25 油彩・カンバス 89×100
ばら 油彩・カンバス 130×200
ジヴェルニーのばらの小径 1924~25 油彩・カンバス 88.5×100  

参考出品:ピェール=オーギュスト・ルノワール
題名 制作年 材質 寸法(cm) 備考
モネの肖像 1872 油彩・カンバス 61×50 パリ、マルモッタン美術館
モネ夫人の肖像 油彩・カンバス

新聞雑誌関係記事
読売/12月14日~’83年1月27日(15回連載)、12月8日~12月10日(3回連載)(安黒正流)、12月7日(夕)(池上忠治)、12月8日(夕)(高橋秀爾)、(島田康寛)、12月15日(夕)(鈴木 敬)、11月14日(八重樫春樹、三浦哲郎)
日経/10月20日(滝 悌三)
毎日/11月5日(夕)(田中幸人)、’83年1月6日(夕)(山村)
朝日/11月12日(夕)、’83年1月19日(夕)(吉村良夫)
サンケイ/12月17日
京都/’83年1月15日(津田潤一郎)
新美術新聞 No.312

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