近代日本美術史におけるパリと日本
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当展は東京国立近代美術館の本年度特別展として企画され、東京展(1973年9月15日-11月4日)にひきつづき本館で展示されたものである。
日本の美術は、古来海外からの刺激を積極的に受け入れつつ独自の展開をみせてきたが、近代美術においては主としてヨーロッパ美術との接触が行なわれ、とくに19世紀末から第2次大戦にかけてはパリとの関係が最も密接であった。<近代日本美術史におけるパリと日本>のテーマはこうして生じたが、展覧会の構成にあたっては次の5つの区分が設けられている。
1.ローランスとコランからの習得。2.印象派とその周辺の受容。3.フォーヴィスム以後の影響。4.エコール・ド・パリ、その他。5.ロダン以後と日本彫刻。そしてコランと黒田清輝、ローランスと鹿子木孟郎らとの比較にはじまり、印象派のピサロ、モネ、ルノワールからセザンヌ、ゴーガンへ、さらにフォーヴィスム、キュビスム、エコール・ド・パリへと進み、日本の方は安井曾太郎、梅原竜三郎、万鉄五郎、前田寛治、佐伯祐三ほか多数が対応されていく。
このようにして当展は、近代日本美術へのパリの影響関係の実態を明らかにし、またその根本的な性格を再検討するための貴重な機会を与えるものであった。また同時に、今後の日本美術の針路についての大きな反省と示唆をもたらしたものと思われる。
- 会期
- 11月10日-12月16日
- 入場者数
- 総数9,725人(1日平均303人)
- 共催
- 東京国立近代美術館
- 出品目録
I.ローランスとコランからの習得
作者名 |
題名 |
制作年 |
レオン・ボンナ |
アルマン・ファリエール大統領 |
1907 |
ジャン・ポール、ローランス |
信心王ロベールの破門 |
1875 |
ジャン・ポール、ローランス |
マルソーの死 |
ラファエル・コラン |
緑野三美人の図 |
1895 |
ラファエル・コラン |
無心 |
1904 |
百武兼行 |
ブルガリアの女 |
1879 |
五姓田義松 |
婦人像 |
黒田清輝 |
読書 |
1890-91 |
黒田清輝 |
花野(下絵) |
1907 |
藤 雅三 |
フランス風景 |
久米桂一郎 |
裸婦 |
1890 |
久米桂一郎 |
夏の夕 |
1894 |
岡田三郎助 |
セーヌ河の上流 |
1899 |
岡田三郎助 |
髪梳く女 |
1915 |
和田英作 |
懐郷 |
1902 |
浅井 忠 |
グレーの秋 |
1901 |
鹿子木孟郎 |
白衣の婦人 |
1901-03 |
中村不折 |
養身(朝陽) |
1915 |
山下新太郎 |
窓際 |
1908 |
津田青楓 |
婦人と金絲雀鳥 |
1920 |
安井曾太郎 |
人体デッサン |
1907-10 |
安井曾太郎 |
人体デッサン |
1907-10 |
安井曾太郎 |
人体デッサン(男) |
1907-10 |
川島理一郎 |
兵士と女 |
c.1911 |
満谷国四郎 |
椅子による裸婦 |
1912 |
柚木久太 |
パリの冬 |
1913 |
II.印象派とその周辺の受容
作者名 |
題名 |
制作年 |
カミーユ・ピサロ |
中庭 |
1880 |
エドガー・ドガ |
背を拭く女(パステル) |
1888 |
ポール・セザンヌ |
風景 |
1900-06 |
クロード・モネ |
ベリールの海(素描) |
オーギュスト・ルノワール |
坐る裸婦、半身 |
オーギュスト・ルノワール |
緑中三人物 |
c.1919 |
ポール・ゴーガン |
乾草 |
1889 |
作者名 |
題名 |
制作年 |
藤島武二 |
ヴェルサイユ風景 |
1906-07 |
山下新太郎 |
靴の女 |
1908 |
斎藤豊作 |
夕映の流 |
1913 |
有島生馬 |
鬼 |
1914 |
安井曾太郎 |
藁家の庭 |
1910 |
安井曾太郎 |
春の家 |
1911 |
安井曾太郎 |
赤き屋根 |
1913 |
児島虎次郎 |
旭川の夏 |
1913 |
梅原龍三郎 |
ナルシス |
1913 |
梅原龍三郎 |
黄金の首飾り |
1913 |
梅原龍三郎 |
ベスビオ |
1921 |
太田喜二郎 |
新緑の頃 |
c.1912 |
金山平三 |
林檎の下(ブルターニュ) |
1912-15 |
森田恒友 |
会津風景 |
c.1910 |
森田恒友 |
フランス風景 |
1914-15 |
足立源一郎 |
青き眼の女 |
1916 |
黒田重太郎 |
枯草を運ぶ女 |
1917 |
坂本繁二郎 |
ヴィラ・クラマルト |
1922 |
青木 繁 |
海景 |
1904-05 |
万鉄五郎 |
裸体美人 |
1911 |
万鉄五郎 |
自画像・赤い目の |
1912 |
万鉄五郎 |
煙突のある風景 |
1912 |
岸田劉生 |
バーナード・リーチ像 |
1913 |
III.フォーヴィスム以後の影響<フォーヴィスム>
作者名 |
題名 |
制作年 |
アンリ・マチス |
赤いキュロットのオダリスク |
1922 |
アルベール・マルケ |
雪のノートルダム |
モーリス・ヴラマンク |
帆船 |
1910 |
モーリス・ヴラマンク |
ポプラ |
c.1914 |
ラウル・デュフィ |
アトリエのモデル |
ラウル・デュフィ |
レガッタ |
キース・ヴァン・ドンゲン |
花の水盤 |
c.1915-17 |
シャルル・カモワン |
横たわる女 |
アンドレ・ドラン |
女 |
1929 |
正宗得三郎 |
アトリエ |
1925 |
中川紀元 |
栗色の帽子 |
1920 |
里見勝蔵 |
女 |
1936 |
硲伊之助 |
栗 |
青山義雄 |
北洋落日 |
1938 |
中山 巍 |
家婦 |
1924 |
前田寛治 |
裸体 |
1928 |
中野和高 |
婦人像 |
1927 |
佐伯祐三 |
雪景色 |
1927 |
児島善三郎 |
鏡を持つ女 |
1928 |
林 重義 |
黄色い帽子 |
1929 |
林 重義 |
モンマルトル、テアトル広場 |
横山潤之助 |
裸婦 |
1926 |
野口弥太郎 |
パリの眺め |
1932 |
鳥海青児 |
ノートル・ダム・ド・パリ |
1932 |
猪熊弦一郎 |
マドモアゼルM |
1940 |
<キュビスム>
作者名 |
題名 |
制作年 |
アルベール・グレーズ |
人物 |
1936 |
フェルナン・レジェ |
女と静物 |
1938 |
パブロ・ピカソ |
イタリアの女 |
ジャン・メッツァンジェ |
寓意的な構成 |
アンドレ・ロート |
寝台のある室内 |
1916 |
アンドレ・ロート |
肖像、正面と横 |
1917 |
黒田重太郎 |
渚に坐る女 |
1922 |
黒田重太郎 |
港の女 |
1922 |
矢部友衛 |
裸婦 |
1920 |
川口軌外 |
静物(マンドリン) |
1927-28 |
東郷青児 |
サルタンバンク |
1926 |
万鉄五郎 |
もたれてたつ人 |
1917 |
古賀春江 |
埋葬 |
1922 |
IV.エコール・ド・パリ、その他
作者名 |
題名 |
制作年 |
シュザンヌ・ヴァラドン |
ヴァイオリン・ケース |
1923 |
モーリス・ユトリロ |
コタン小路 |
c.1911 |
モーリス・ユトリロ |
モン・スニ街 |
1914 |
アメデオ・モディリアニ |
ロロット |
1917 |
ジュール・パスキン |
坐る女 |
1924-28 |
ロジェ・ビシエール |
三人の年頃の娘と一匹の番犬 |
1925 |
ロジェ・ビシエール |
風景 |
1927 |
ロジェ・ビシエール |
人物 |
1937 |
モイズ・キスリング |
女道化師 |
1927 |
マルセル・グロメール |
ブランシュ広場 |
1918 |
カイム・スーティン |
祈る人 |
1923 |
石井柏亭 |
サン・ミッシェル橋 |
1923 |
藤田嗣治 |
わが画室(目覚し時計のある静物) |
1921 |
藤田嗣治 |
室内、妻と私 |
1923 |
小山敬三 |
薄暮(アルカンタラの橋) |
1927 |
木下孝則 |
裸婦ナックレ |
1930 |
大久保作次郎 |
マルセイユの魚売り |
1927 |
中村研一 |
裸体 |
1923-28 |
海老原喜之助 |
二人の女 |
1927 |
岡鹿之助 |
堀割 |
1927 |
荻須高徳 |
モンマルトル裏 |
1940 |
小磯良平 |
肩掛の女 |
1929 |
田崎広助 |
松林初秋 |
1932-34 |
V.ロダン以後と日本彫刻
作者名 |
題名 |
制作年 |
オーギュスト・ロダン |
永遠の青春 |
1884 |
オーギュスト・ロダン |
ゴロツキの首 |
オーギュスト・ロダン |
ロダン夫人 |
オーギュスト・ロダン |
或る小さき影 |
アントワーヌ・ブールデル |
風の中のベートーヴェン |
1904-08 |
アントワーヌ・ブールデル |
うずくまる浴女 |
1908-09 |
アリスティド・マイヨール |
イール・ド・フランス |
1925 |
シャルル・デスピオ |
ジャンヌ(カミエンスカ嬢) |
1921 |
アレキサンドル・アルキペンコ |
立っている裸婦 |
1916 |
オシップ・ザッキン |
光と影 |
1918 |
オシップ・ザッキン |
アコーディオン弾き |
1918 |
オシップ・ザッキン |
輪投げ |
1930 |
荻原守衛 |
坑夫 |
1907 |
荻原守衛 |
女 |
1910 |
高村光太郎 |
裸婦坐像 |
1916 |
高村光太郎 |
手 |
1923 |
藤川勇造 |
ブロンド |
1913 |
保田龍門 |
クリスティーヌの首 |
c.1923 |
金子九平次 |
C嬢の首 |
1925 |
清水多嘉示 |
男の座像 |
1930 |
武井直也 |
髪 |
1939 |
山本豊市 |
エチュード |
1927 |
高田博厚 |
水浴の女 |
1961 |
渡辺義知 |
男 |
c.1932 |
菊池一雄 |
ギリシャ人の首 |
1938 |
戸張孤雁 |
足芸 |
1914 |
中原悌二郎 |
若きカフカス人 |
1919 |
陽 咸二 |
ある休職将軍の顔 |
1929 |
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サンケイ(夕刊) 12月3日(京都展関係のみ)
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