お知らせ

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)京都支部
  2008年度 第1回フェローセミナー


国際交流基金(ジャパンファウンデーション)では、フェローシップ・プログラムにより海外の日本研究者を日本に招聘し、研究する機会を提供 しています。京都支部ではその研究成果の発表の場としてフェローセミナーを実施しています。このたび2008年度第1回セミナーを以下の通り開催致しますので、ご案内申し上げます。今回は京都国立近代美術館との共同プロジェクトとして、同美術館より会場提供をはじめとする協力を得て実施します。多くの皆様のご参加をお待ちしています(今回の発表は日本語で行われます。通訳はありません)。

日時:
2008年6月14日(土)午後2時〜3時30分(当日午前11時から整理券配布)
研究発表:午後2時〜3時、質疑応答:午後3時〜3時30分

場所:
京都国立近代美術館1階講堂

聴講料・定員:
聴講無料、先着50名

主催:
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)京都支部

共催:
京都国立近代美術館

テーマ:「ウクライナと日本の木造建築の系譜と共通点」

ウクライナと日本の木造建築の比較研究は今まであまり行われてきませんでした。日本に木造建築が多いことは世界的にも有名ですが、ウクライナ共和国の建築についてはあまり知られていません。しかし、ウクライナにもすぐれた木造建築が発達してきました。ウクライナの民家や宗教建築の形態は日本の木造建築とも類似点がありますが、構造的にはウクライナの場合は日本の宗教建築と異なり、大部分が校倉造りです。ウクライナには伝統的に石造建築と木造 建築の2つの流れがあり、それぞれが発展し変化してきました。市や町の中心部では、9世紀ぐらいから石造が顕著となり、石造の教会が発展しました。他方、ウクライナ全土の村落では独特な木造建築が発展しました。両者は相互に 影響を与えあったものの、バロック時代(17世紀)には木造教会堂のデザインは発達の頂天に立ち、そのデザインは石造建築に強い影響を与え、建築様式として定着しました(ウクライナ・バロック)。すなわち石造建築の様式はウクライナの多様な木造建築の強い影響下にあったといえます。石造教会の形態はビザンチン建築の影響を強く受けたものと考えられているのに対し、木造教会の建築は伝統的な木造住宅の平面の流れをくむものか、あるいは倉や祠堂の系譜にあるものと考えられています。しかし、いずれにせよ、その原形や修復の方法についての詳細な研究は十分に行われていません。

今回、日本に来て研究を進める中で、ウクライナと日本の木造建築の系譜(日本の古墳時代とウクライナ地方で昔発展したTripolye文化の家型埴輪など)とその発展過程、また建設方法や建物の細部では類似点も多く見られることが分かりました。その理由として、文化や信仰、また風景の共通性を挙げることが出来るでしょう。また歴史的な関係も背景にあるものと思われます(ウクライナの場合、木造教会堂はキリスト教が広がる前にウクライナ地方にある“ポガヌスカヤ”(Pagan)という宗教施設(神殿)との関係が指摘できます。“ポガヌスカヤ”という宗教は自然界の多数の神を信仰するもので、日本の神道に近い性格を持っています)。今回の研究の結果として、日本とウクライナの木造建築の発展過程には類似が認められることが確認できました。また今回の研究を通して、日本の伊勢神宮などの神社の建築形態の成立過程同じく、ウクライナの木造教会の系譜は倉・祠堂にあるという説を検証することが出来たと考えています。

(ガリーナ・シェフツォバ)

講師: Galyna SHEVTSOVA(ガリーナ・シェフツォバ)氏 
  (ウクライナ/2007年度基金フェロー)

キエフ国立建築建設大学助教授。建築学博士。国際交流基金日本研究フェロー(2007年度)として来日。現在、近畿大学理工学部(指導教官:櫻井敏雄教授)で「日本・ウクライナの木造建築の技法と初期形成過程の比較研究」をテーマに研究活動中。

問合せ先:

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)京都支部
     〒604-8186
     京都市中京区車屋町通御池下ル梅屋町361-1
     アーバネックス御池ビル東館4F
     TEL: 075-211-1312  FAX: 075-255-1273

企画展及びコレクション・ギャラリーのご観覧料は別途であることをご了承下さい。


このページの先頭へ