文承根+八木正 1973–83の仕事


文承根+八木正 1973–83の仕事
八木 正 《Two Sticks Floor Line》
千葉市美術館蔵
  京都を拠点に活動し、1980年代初頭に惜しまれながら逝去した二人の美術家、文承根(ムン・スングン 1947–1982)と八木正(やぎ・ただし 1956–1983)が残した作品についての展覧会を開催します。本展は京都国立近代美術館と千葉市美術館の所蔵品のみで構成されるものであり、文承根と八木正の作品を網羅する回顧展ではありません。そしてこの展覧会は、4半世紀前に世を去った二人の俊才について二つの美術館が続けてきた日常業務と作品研究の中間報告を兼ねた、小規模な所蔵作品展という性格を持っています。
  文承根は1960年代後半からほぼ独学で美術表現を開始し、1969年の第5回国際青年美術家展で受賞(藤野登として発表)、美術家としての才能を認知されました。1970年代を通じても文承根は他の作家と親密に交流することなく、孤高を保ちつつ独自の研究と実践を続けます。しかし彼の作品は、当時のコンセプチュアル・アート、絵画や彫刻、版画などが挑んでいた最も先鋭的な批評の問題に真摯に取り組んだものであり、残された立体や版画、水彩の作品は深い批評性と高い完成度を示しています。
  一方、在学中からその作品が注目されていた八木正は、1979年に京都市立芸術大学・彫刻科を卒業した後わずか5回の個展を開催しただけですが、その作品は70年代のミニマリズムの造形的呪縛を止揚するかのような、重層的な曖昧さと強固な存在感を放つものであり、関係者の間に強く記憶されています。いま振り返れば、八木正の作品は文字通り70年代と80年代の狭間に、フォーマリズムからポストモダニズム的な視線の拡散への接点に位置していたと言うことができるかもしれません。さらなる展開を期待されていた八木正は1983年に白血病のため急逝しました。
  文承根と八木正とには、京都を活動拠点としていたこと、1970年代後半から80年代初頭の活動時期が重なること、他の作家との直接的な関係においての制作ではなく、自らの関心と課題とを試行錯誤において独自に発見していった作家であること、こうした共通項を見出すことができます。しかしこの展覧会は、彼らの作品に強引な共時性を、あるいは同時代の動向との直接的な連続性を見出そうとするものではありません。ただ、いまも輝きを失わない彼らの作品を保存し記録し、記憶に残し、その作品を多面的に研究することは、70年代、80年代の日本の現代美術を再考する上で少なくない意味を持つと確信しています。
  文承根と八木正の作品の一部は、それぞれのご遺族と関係者の長年の努力により今日まで保存されてきました。京都国立近代美術館は文承根のご遺族からの相談を受け、過去5年間作品の保管と国内の主要美術館への作品情報の提供に協力してきました。千葉市美術館は、残された八木正の作品を積極的に保管し、展示可能な状態を保つため作品修復の努力を続けてきました。この展覧会は、その才能を惜しまれながら世を去った二人の美術家の作品を記録に残し、将来の研究のための原資料として保存してきた二つの美術館の日常的な努力と研究の蓄積を公表するものでもあり、二つの美術館のコレクションを集合させた、きわめて小規模でささやかな展覧会なのです。


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会期
平成19年8月7日(火)〜9月17日(月・祝)

休館日
毎週月曜日


展示作品
文承根+八木正 1973–83の仕事 展示目録


主催
京都国立近代美術館、千葉市美術館

協力
京阪電鉄


観覧料
  個人 団体(20名以上)
一般 420円 210円
大学生 130円 70円
高校生 70円 40円
中学生以下 無料 無料


広報資料
ポスター デザイン案
(2007/06/13)

チラシ  PDF形式(523KB)

(2007/07/11)



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