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展覧会ジャパニーズ・モダン―剣持勇とその世界

ジャパニーズ・モダン―剣持勇とその世界

 本展は、日本の近代インテリア・デザインの先駆者として、日本の伝統的美意識を現代に再生させ、世界のモダン・デザインの中に日本的美学の揺るぎない地位を築いたデザイナーとして、今なお内外で高い評価を受け続けている剣持勇(1912―1971)の業績を回顧する展覧会であり、剣持の没後初めて開催される大規模で総合的な展覧会となった。
 1932年に仙台の商工省工芸指導所に職を得た剣持は、伝統に根ざす木工を機能と美を備えた近代的「産業工芸」へと展開させることに取り組み、来日中のドイツ人建築家ブルーノ・タウトから、「優秀な日本の伝統的工芸文化を現代の諸条件に適応させることによってのみ、『日本型』ともいうべき独自の新形式を創作できる」との薫陶を受ける。生活の科学化、美化、合理化という目標を掲げた剣持のデザインは、戦後、機能的でしかも美しさを備えた「簡素美」のデザインへと結晶した。彼は「ジャパニーズ・モダン」というデザイン理念を提唱し、簡素美を尊ぶ日本の伝統を「近代」に融合させることに懸命な努力を傾けた。また、同時代の建築家との共同プロジェクトにも積極的に携わり、日本的造形感覚を「世界が共鳴する」美意識に高めた剣持の業績は、復興期の日本人に文化的誇りと勇気を与え、その後の日本デザイン界の国際的活躍の道を拓いたものとして、正しく検証される必要があり、本展がその契機となったことを切望する。

会期
10月8日―11月3日(23日間)
会場
京都国立近代美術館1階ロビー
入場者数
12,795人(1日平均556人)
出品作品数
147点
カタログ
『ジャパニーズ・モダン―剣持勇とその世界』/25.8×18.5cm/237頁
編集:松戸市教育委員会/デザイン:西岡勉/発行:松戸市文化振興財団
所収論文:「椅子と剣持勇の『近代』」鹿野政直、「出会いからジャパニーズ・モダンへ」松本哲夫、「インテリアというユートピア―剣持勇への序章」新見隆、「伝統と近代・架橋と狭間―剣持勇ノート」森仁史、「豊口克平と標準化―『機能』と『科学』をめぐって」敷田弘子、「新制作協会建築部:猪熊弦一郎の活動から」安藤輝美
巡回先
秋田市立千秋美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、松戸市立博物館

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