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展覧会彫刻家 堀内正和の世界展

彫刻家 堀内正和の世界展

 本展は1911年、京都に生まれ、日本の抽象彫刻を代表する作家として活躍した堀内正和の没後初めての大規模な回顧展である。
 堀内は東京高等工芸学校在学中、第16回二科展に最年少で入選したことを契機に彫刻家を志し、番衆技塾で藤川勇造に学ぶ。最初は伝統的な具象彫刻を制作し、大戦中は一時制作を中断するものの、戦後は旺盛な意欲とともに創作を再開し、多くの作品を世に問うた。
 最初はヘンリー・ムーアやアルプを思わせる生命的な彫刻、続いて面と線を構成要素とした一連の実験を重ね、さらに円筒や立方体のヴァリエーション、そして身体の一部を取り入れたユーモラスな造形まで堀内の作風は多岐にわたるが、いずれも具象と抽象の区別を軽々と飛び越える独特の合理性、機知と諧謔にあふれている。さらに作家としての活動とともに堀内は教師としてもその才能を発揮する。1950年以来、堀内は京都市立芸術大学で教鞭を執り、多くの若い作家たちを育てた。
 この展覧会では初期の作品から晩年の作品にいたる代表作約80点余を展示し、その創造の全貌を紹介した。あわせて作家のアトリエに遺されていた、創造の秘密とでも呼ぶべき多くのペーパー・スカルプチュア(紙彫刻)を出品し、来場者は興味深く両者を比較していた。
 また会期中に堀内の薫陶を受けた三人の作家を招いてシンポジウムを開き、堀内という稀有の彫刻家の足跡を多角的に検証した。

会期
3月13日―4月18日(32日間)
入場者数
6,297人(1日平均197人)
出品作品数
112点
カタログ
『彫刻家 堀内正和の世界展』/30.0×22.5cm/161頁
編集:長門佐季(神奈川県立近代美術館)、尾﨑信一郎(京都国立近代美術館)、藤本陽子(茨城県近代美術館)、吉崎元章(芸術の森美術館)/デザイン:岡田宏三/本文デザイン:桑畑吉伸/発行:神奈川県立近代美術館、京都国立近代美術館、茨城県近代美術館、財団法人札幌芸術文化財団、読売新聞東京本社、美術館連絡協議会
所収論文:「あいさつにかえて」酒井忠康、「堀内さんはえらい」加藤貞雄、「堀内正和―こころの遺産」堀内淳子、「堀内正和の彫刻―思考と手わざの間」尾崎信一郎、「知的な遊び―ペーパー・スカルプチュアを中心に」長門佐季
巡回先
神奈川県立近代美術館 鎌倉、茨城県近代美術館、芸術の森美術館

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