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展覧会神坂雪佳―琳派の継承・近代デザインの先駆者

神坂雪佳―琳派の継承・近代デザインの先駆者

 本展覧会は、明治から昭和初にかけて京都で活躍した画家・図案家である神坂雪佳(1866―1942)の没後初最大の回顧展として計画された。琳派を研究・発展させた雪佳は、工芸家たちとともに新たな近代的工芸の在り方を模索し、佳都美会などの研究団体を主宰して、明治維新以降の京都の芸術界において重きを成した人物であった。しかし生活様式の変化などさまざまな理由から、戦後彼の業績は忘れられてしまっていた。近年とくに海外で評価の高い雪佳を、伝統的琳派を継承する画家としてだけではなく、今日でいうデザイナーやアート・プロデューサーの先駆者として多角的に捉え再評価し、広く一般に紹介することが本展の目的であった。本展は京都展終了後、佐倉市立美術館に巡回し、2004年にはロサンゼルス・カウンティ美術館そして共催者であるバーミングハム美術館でも開催され、非常な好評を博した。
 本展覧会の企画は、バーミングハム美術館(米国)と協力して進められたが、海外の美術館と調査段階から協力し、展覧会を両国で開催するのは、当館としては初めての試みであった。神坂雪佳の作品は、戦後多くの優品が海外とりわけアメリカに流出しており、バーミングハム美術館と協力することによって、それらの里帰りが実現した。また展覧会がアメリカでも開催されることで、雪佳の作品が、日本美術史の枠組みだけではなく、世界の美術史の中に位置づけられる可能性が生まれたことは、特筆に値する。展覧会の日米両国での開催に併せて、カタログも完全なバイリンガルで作成された。雪佳については、1981年に榊原吉郎氏が編集した画集以外まとまった資料がなく、本カタログが論文・図版・写真資料を豊富に含む初の包括的書籍であり、今後の研究の試金石たるものとなった。

会期
8月30日―10月13日(39日間)
入場者数
36,497人(1日平均936人)
共催
バーミングハム美術館(米国)、朝日新聞社
出品作品数
274点
カタログ
『神坂雪佳―琳派の継承・近代デザインの先駆者』/29.8×22.7cm/355頁
編集:池田祐子(京都国立近代美術館)、ドナルド・A・ウッド(バーミングハム美術館)/デザイン:大向務、今西久(大向デザイン事務所)/発行:京都国立近代美術館、バーミングハム美術館、朝日新聞社
所収論文:「神坂雪佳:コレクターの立場から、展覧会に寄せて」クルト・A・ギッター、「神坂雪佳論」榊原吉郎、「近代の琳派としての神坂雪佳と京漆器」佐藤敬二、「神坂雪佳:近代琳派の巨匠」ターニャ・フェッレット・スティール、「工芸改革をめざした図案家、神坂雪佳―競美会における陶磁器をてがかりとして」清水愛子、「摺られた瞬間:神坂雪佳の木版画におけるイメージについて」オードリー・ヨシコ・セオ、「神坂雪佳の図案集」比嘉明子
巡回先
佐倉市立美術館、ロサンゼルス・カウンティ美術館、バーミングハム美術館

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