展覧会京都の工芸1945―2000
京都の工芸1945―2000
当館では、美術のみならず工芸の歴史や新しい動向にも絶えず注目し、数多くの展覧会を開催してきた。この展覧会は2001(平成13)年度当館の特別展として開催し、その後、東京国立近代美術館工芸館に巡回した。
本展は、1998年に近代京都の工芸の黎明期から揺藍期を展観した「京都の工芸1910―1940」展に続き、美術工芸が大きく展開、発展した第2次世界大戦終結後から2000年までの約50年間を前回同様、陶芸、染織、漆芸の3分野に着目し検証した。
陶芸では戦後間もなく結成された四耕会、青年作陶家集団や走泥社など前衛陶芸の活動や、用も意識に入れた新しい意匠の工芸を目指した新匠美術工芸会、さらに抽象主義美術の団体であったモダンアート協会生活美術部などの活動を検証した。また、染織では、先に述べた新匠美術工芸会、モダンアート協会生活美術部や若手の染色家たちによって結成された「無限大」、さらにファイバーワークと呼ばれる新しい染織動向も検証した。漆芸では戦前から活躍していた作家たちが中心となり戦後結成された創入社、朱玄会、さらに旧来の漆の概念では捉えられない形や手法で前衛的な作品に取り組むグループであるフォルメなどを検証した。以上のように本展は戦後の京都工芸の動向を明らかにし、これらの活動に、戦前から巨大全国組織であった日展や、1950年に文化財保護法が制定以後の伝統工芸の動き、また、クラフトの動きなどにも注目しながら、20世紀後半の京都の工芸の多様な展開を検証する展覧会であった。
- 会期
- 8月28日―10月21日(48日間)
- 入場者数
- 10,797人(1日平均225人)
- 共催
- 東京国立近代美術館
- 出品作品数
- 291点
- カタログ
- 『京都の工芸―1945―2000』/30.0×20.0cm/272頁
編集:松原龍一、土岐加寿子、南野朋子(京都国立近代美術館)/デザイン:西岡勉/発行:京都国立近代美術館
所収論文:「京都の工芸[1945―2000]」松原龍一 - 巡回先
- 東京国立近代美術館
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