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展覧会ルネ・ラリック 1860-1945展

ルネ・ラリック 1860-1945展

 日本においてラリックの名は、主にガラス工芸作品、特に優美な香水瓶の制作と結びついて知られている。しかし彼は、19世紀末のいわゆるアール・ヌーヴォーの時代に、従来の因襲にとらわれない素材とモティーフの扱いで一世を風靡した宝飾デザイナーでもあった。プラチナやダイヤモンドだけではなく、金や七宝細工、獣角やガラスそして半貴石を巧みに利用し、女性や動植物をテーマに創りあげられた独創的なジュエリーの数々は現在「モダン・ジュエリー」の起源と見なされている。20世紀に入りラリックは更に、当初ジュエリーの一素材として用いていたガラスそのものに注目し、数多くの素晴らしい作品を生みだした。彼はその際、香水瓶や花瓶のみならず、オブジェや宝飾品、建築といった領域にまでガラスの可能性を広げ、型吹き成形やシール・ペルデュといった技法を研究・開発してガラス作品の大量生産への道をも切り開いた。このようなラリックの仕事に対する評価は、1925年にパリで開催された国際博覧会、通称アール・デコ博で決定的となった。
 リスボンのグルベンキアン美術館やオルセー美術館、パリ装飾美術館など国内外から集められた、デザイン画を含む約400点で構成された本展覧会は、芸術と産業の融合という近代デザイン最大のテーマをめぐって、ジュエリー・ガラスの両分野に稀有な足跡を残したラリックの偉業を総覧する、またとない機会となった。
 本展は、京都展に先駆け、横浜・そごう美術館ならびに東京都庭園美術館でも開催され、好評を博した。

会期
2月10日―4月15日(43日間)
入場者数
68,958人(1日平均1,231人)
共催
日本経済新聞社、NHKきんきメディアプラン
出品作品数
407点
カタログ
『ルネ・ラリック 1860-1945展』/30.6×23.3cm/375頁
監修:イヴォンヌ・ブリュナメール、マリー=ロール・ペラン/編集:冨田章(そごう美術館)、牟田行秀(東京都庭園美術館)、池田祐子(京都国立近代美術館)、泉川真紀(アプトインターナショナル)/デザイン:梯耕治/発行:アプトインターナショナル
所収論文:「ルネ・ラリックの宝飾工芸―想像世界を支える技法」イヴォンヌ・ブリュナメール、「多様性の統一―ルネ・ラリックのガラス作品」デイヴィッド・リヴェア・マックファーデン、「愛すべきよきもの―ラリック―日本にもたらされたルネ・ラリック活動期の作品について」池田まゆみ、「欧亜のエクスペデション―ラリックと旧朝香官邸に関する考察」牟田行秀
巡回先
横浜・そごう美術館、東京都庭園美術館

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