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展覧会八木一夫展

八木一夫展

 陶芸界に新しい造形分野を確立し、旺盛な創作活動をくりひろげていた八木一夫は、昭和54年2月28日、60歳で突然世を去った。本展は、鋭い感覚と知性を併せもった、稀有の才能の人である八木一夫の生涯の業績を回顧したものである。

 八木一夫は大正7年に京都に生まれ13才で京都市立美術工芸学校彫刻科に入学した。卒業後は商工省陶磁器試験所の伝習生となり沼田一雅の「日本陶彫協会」に入会し陶彫を学んだ。その後、兵役、神戸や京都での教員生活を経て、昭和21年より陶芸に専念するようになる。同年、中島清を中心とした「青年作陶家集団」の創立に加わり活動を続け、昭和23年には鈴木治、山田光、松井美介、叶哲夫とともに「走泥社」を結成した。彼は常にその先頭に立って新陶芸運動を推進した。その仕事は、初め実用的な器形の中に海外の美術に触発された新感覚を加えたものであったが、昭和30年頃からは陶器の実用性を捨てたオブジェ作品へと移っていった。これらの作品は、陶土と火によりながら、従来のやきものでもなく、また彫刻でもない新しい造形へと踏みこむものであった。さらに彼は、無彩の焼き締めによる作品を経て、黒陶という無機的で彫刻に近い表現が可能な手法へと至り、機知やユーモアにあふれる優れた作品を次々と生み出していった。晩年は開かれた本、手や足などの具体的なイメージを使いながら、その簡潔なフォルムで、彼の知性と情念を形式化したともいえる独自な観念的作風を示していた。

 八木一夫は、やきものの既成の枠を破る世界を開拓したが、決して伝統的な陶芸そのものを否定したのではなかった。オブジェ作品をつくる一方で、生涯を通じて茶碗や壺の制作も続けていた彼は、心中に尽きることのない土への深い愛着を持ち続けていた陶芸家といえるであろう。

 この展覧会で示された彼の幅広い作域と優れた作品は、単に工芸界の良き指標としてだけではなく、広く美術界全般に大きな示唆を与えるものであった。

 本展は、当館での展示終了後、東京国立近代美術館で展示された。

会期
2月24日(火)~3月29日(日)
入場者数
総数 25,045人(1日平均834人)
主催
東京国立近代美術館 日本経済新聞社
出品目録
題名 制作年 寸法(cm)
春の海 1947 21.0×20.0
春の海 20.0×19.0
金環蝕 1948 58.0×18.0
鉄象嵌瓶鳥 1949 41.5×7.0
二口壺 1950 19.0×20.0×13.5
湖底の聚楽 1952 24.0×22.0
鉄絵花壺 1952-53 20.0×9.2
黒絵 鶴首瓶 1952-53 24.7×10.0
ザムザ氏の散歩 1954 27.5×14.0
花生 37.0×29.5
天下大将軍 1955 66.3×19.5
俳諧師 17.8×15.5
失明 26.0×22.0
泡沫の句碑 23.0×22.5×25.0
作品「B」 1955 48.0×9.3×4.0
素焼パイプ「風位」 34.5×21.5×10.5
ダルマサン 1956 20.0×20.0
夕鶴 1957 59.0×24.0
人物象嵌壺 1957-58 29.8×22.0
黒陶 1958 030.0×15.×12.0
翔鳥水指 1959 19.5×18.5
鉄象嵌花壺 26.5×16.5
雲の記憶 23.0×21.0×24.0
雲の記憶 53.0×30.0×25.0
黒陶 1957-60 15.0×18.5×14.0
偶像 1961 32.0×32.0×13.5
シャツの碑 1962 43.0×36.0×10.0
碑妃 69.0×24.0×8.0
壁体 1963 52.0×37.0×7.5
作品 1960-63 24.0×17.2×9.0
作品 1963 47.0×33.7×11.0
肖像 26.0×17.0×11.0
金彩 装ったオブジェ 37.5×4.7×6.5
金彩 装ったオブジェ 48.0×5.5×8.0
僧正 27.5×33.5×7.5
盒子 7.0×3.7、2.5×2.3
北回帰線 1964 38.8×42.0×9.0
壁体 52.0×68.5×6.5
書籍 28.5×41.0×10.5
肖像 25.0×14.0
遊泳術 16.5×39.0×28.5
人物 23.0×21.5
獅子 15.5×14.0×12.5
黒陶 c.1964 71.0×25.0×20.0
人物 1965 19.0×37.5×4.5
作品 10.0×24.5×24.5
野守 33.0×27.7×10.0
31.3×9.7
唇のデザイン 19.2×26.5×7.0
黒陶 鳥 21.5×31.0×7.0
黒陶 21.0×22.0×15.0
舞炉 19.5×29.0×8.4
作品 1966 43.0×14.0×14.0
日々の輪 27.5×26.0×13.0
信楽土管 28.0×77.0×15.5
信楽花生 12.0×12.8
信楽大壺 41.5×43.0
信楽小壺 23.0×9.5
信楽筒 17.8×10.0
方壺 1966 49.5×15.5×15.5
環境の表裏 1967 30.0×24.0×20.0
同志 1968 38.0×22.2×15.2
赤いアパート 43.3×15.0×13.5
30.5×30.5×10.0
陶筒 鳥雲に入る 52.3×11.0
陶筒 行進 51.8×11.0
57.5×37.0×32.5、53.5×42.0×39.5
名月 1969 33.5×31.0×11.0
頭は先に進む 46.5×22.5×17.0
髪のデザイン 43.8×25.5×16.0
穴を通る穴 20.5×20.5×20.5
素因の中の素因 20.5×20.5×20.5
SOS 29.0×17.5×18.0
盾あるいは加留多 31.5×16.0×16.0
投石 1970 28.0×35.0
鉄絵の器 1969-70 21.3×21.3×21.3
白い箱 1971 33.0×23.5×23.5
白い箱、OPEN、OPEN 29.0×23.0×23.0
飾壺 鉄絵三島手 20.5×26.0
花の土管 31.0×31.0
壺 花の花三島 22.0×33.5
絵壺 雲について 16.8×18.5
粉引の茶● 6.5×10.5
花刷毛目茶● 12.0×9.0
夏の野大鉢 12.2×31.0
少女 1972 23.0×25.0×19.0

題名 制作年 寸法(cm)
ホワイト・パンフレット 1972 20.0×39.5×14.5
頁 1 14.5×23.0×16.0
頁 2 4.5×19.0×15.7
頁 3 5.5×14.5×9.0
10.0×33.0
ご開張 15.5×14.0×10.5
ブラック・メッセージ 3.3×24.0×17.3
秘話 3.5×25.0×16.6
本の埴輪 23.0×19.5×15.6
ノー 3.5×22.5×15.0
萩風の茶● 11.5×8.5
白書 4.5×19.5×27.0
トンネル 14.0×19.5×18.0
パンフレット 18.5×29.2×17.6
アリサの人形 1973 30.0×28.0
肖像 23.5×23.0×16.3
肖像 34.0×30.0×24.0
11.0×20.0
動機について 20.5×45.0×22.0
バーミアンの少女 1974 57.0×20.0
バーミアンの少女 19.0×16.0
バーミアン風の肖像 31.0×24.8×10.5
距離 27.7×59.5×16.5
喝采のスペース 21.7×17.5×13.0
密着の距離 27.5×39.5×17.5
ゆらゆら揺れる手 16.5×25.0
仏足 7.5×22.5×10.0
作品 14.5×42.5×23.0
流離 15.0×16.5×58.5

題名 制作年 寸法(cm)
絵壺 花をもつ少女 1974 30.0×30.0
白い水柱 12.0×20.5
缶相 1975 11.6×10.2×38.0
陶板 20.2×26.3×14.8
至福 35.0×25.5
発掘 27.5×28.3
灰陶 15.9×16.7
楽茶● 1976 10.0×11.6
朧萩茶● 7.2×14.5
白い面取りの茶● 7.8×12.0
適材適所に 1977 29.2×16.2×15.0
いつも離陸の角度で 27.0×27.5×30.0、33.5×30.0×27.3
陰気な暦 30.5×30.7×8.6
発芽の様相 39.0×24.6×18.5
じわじわと脱いでいく 11.5×35.0×26.0
ひかりが頬をすべる 20.0×30.5×23.5
記録-転向の 32.0×32.0×18.0
53.0×19.2×17.0
構想設計 20.0×16.0×12.7
ゾーンC 7.8×49.2×26.2
妖精の信号のように 19.5×15.5×11.0
老妓の合点のふうに 48.0×17.2×12.5
刷毛目面取水指 10.2×19.0
楽茶●(末摘花) 7.5×12.2
隠遁のゾーン 26.0×24.8×26.0、52.0×25.0×26.0
隠遁のゾーン 27.5×24.0×23.5
盲亀 1978 8.0×38.5×30.0
ザムザ氏の散歩 19.5×28.0×17.7
雲の記憶 42.8×41.0×11.5
月見亭 21.6×26.5×17.5
アリサ人形 43.2×38.7
星座 4.0×31.5×31.5
ブラック・エコー 40.0×15.0×13.5、52.0×23.5×13.5
瓜のかたちで満ちてくる潮 23.0×46.0
陶斧 36.0×21.2×17.4
ブラック・ボックス 35.0×31.3×39.3、32.5×32.5×32.5
54.3×55.0×17.4
17.5×53.0×48.0
18.3×22.3×18.3
風位 53.5×22.4×9.0
面目 39.2×33.4×9.0
教義 22.917.0×26.5
教義 21.3×28.020.5
俳句 21.5×30.0
Haiku II 1978 29.8×22.5
Haiku IV 31.5×22.5
Haiku VII 24.9×14.6
Wateris…… 15.5×17.0
盲亀浮木 11.0×23.0×20.0
阿● 39.0×18.1×11.3、39.3×22.0×11.1
雲の力学 26.0×21.0×19.5
陽浴びする鳩 19.3×10.0×18.0
表裏なし 35.5×25.5×6.6
表裏なし 38.5×20.5×10.0
オパール長瓶 1967 79.0×9.0
U管 34.5×6.5、22.0×8.5
ガラ枕 12.0×34.0×14.0
遠い入口 1969 33.5×19.5×18.0
融合への分離 19.0×14.5
呪者 45.0×16.0×16.0
ニュートンの耳 22.9×21.1×11.1
花の花生 38.0×14.7
永き午前 17.2×18.8
版画(併用技法)(A) 1965 18.4×11.5
版画(併用技法)(B) 12.3×9.0
版画(併用技法)(C) 12.0×9.0
版画(併用技法)(D) 12.0×9.0
版画(併用技法)(E) 11.5×8.6
版画(木版)(A) 1975 55.0×44.0
版画(木版)(B) 45.3×37.0
版画(木版)(C) 44.0×34.0
版画(木版)(D) 30.3×23.8
版画(木版)(E) 28.0×23.0
版画 地蔵さん 16.0×38.5
版画 角度 47.0×36.0
100ノナカ64ハムシ(版画と原板) 12.4×23.5×23.5
100ノ確認(版画と原板) 12.5×23.5×23.5、33.8×41.5
動版画(版画と原板) 46.0×47.0、33.0×41.0
エスキース 形象 c.1968 35.7×25.3
エスキース ひらたくなっていく頭 35.7×25.3
エスキース 「左の目へ話しかけたい右の瞳」の機構 35.7×25.3
エスキース 右の目と左の目の情報 35.7×25.3
エスキース 筒花生など 35.7×25.3

新聞雑誌関係記事
朝日/2月25日、3月3日、7日(夕)(池田 弘)
京都/2月28日、25日~27日(3回連載 今泉篤男、鈴木 治、田中一光)
公明/3月1日
サンケイ/2月27日
新美術新聞/3月21日(乾 由明)
日経/2月17日(河北倫明)、19日、22日、23日、24日、3月2日、3日、13日(夕)、16日~20日(夕)(5回連載)
毎日/2月25日、3月18日(夕)(山村 悟)
読売/2月24日、3月3日~10日(5回連載、富士正晴、肥原康甫、荒木高子、乾 由明、下村良之介)、6日(夕)(中村敬治)、11日(夕)(池田 弘)
美術手帖 478(内山武夫)479(平野重光)
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