陶片からなにがみえるかな?
キク_ノ_ヒトエダ
テキスト:中村裕太
石黒は「東籬下素質清純 仔細看花初学人 彫琢求工描幾帖 不知缾菊一枝真(東の垣根に咲く菊の花は清純で美しい。この花をよく見て工夫を重ねて何度も描いてみるが、花瓶に挿した一枝の真の姿には遠く及ばない)」と漢詩を読んでいる。この漢詩は、中国の南北朝時代の田園詩人であった陶淵明の「飲酒二十首」のなかの「采菊東籬下 悠然見南山(東の垣根の下で菊を採り、悠然とした気持ちで南の山を眺める)」がもととされる。「東の垣根」ではないが、八瀬の庭一面に菊の花が咲いている古写真が残されている。この陶片には、漢詩の一部「花初学人 彫琢求工描幾」の染付の筆書きを読み取ることができる。石黒はそうした庭の情景から漢詩や陶器作りを行っていたのだろう。
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