陶片からなにがみえるかな?
カキ_ノ_エダブリ
テキスト:中村裕太
石黒宗麿は、1936年に伊勢の呉服商の息子である長谷川忠夫(1905-1952)の援助を得て「八瀬陶窯」を築窯する。広大な敷地には、主屋の他に、茶室、倉庫、登り窯がある。主屋は、安普請ではあるが、建築意匠に石黒の遊び心を垣間見ることができる。たとえば、仕事場であった土間の囲炉裏の縁には数個の陶片が埋め込まれ、襖には陶製の把手が嵌め込まれている。妻のとう(1898-1983)は、庭での畑仕事に勤しみつつ、桜、椿、梅、楓などの植栽を手入れした。この陶片には「八瀬陶窯」と染付で筆書きがされ、落葉した柿の木と主屋が描かれているのが分かる。
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