陶片はどんなコレクションと
つながるかな?
押して、押して、押していく。
テキスト:
日本の洋画界では、60年代以降にアンフォルメル絵画が流行するなかで、絵画の表面を同じパターンの繰り返しで覆いつくす作品が盛んに制作されました。
ここでは、高瀬善明という作家に着目してみましょう。高瀬は1960年代半ばから、画面全体に”おはじき”をならべたり焼ゴテを用いる作品を作りはじめ、同じパターンの繰り返しと単純な色彩によって、独特な深みのある画面空間を生み出しました。当館が1964年に開催した「現代美術の動向 絵画と彫塑」展の出品目録の表紙には焼ゴテを用いた高瀬の作品が採用され、こうした表現が当時の人たちに与えたインパクトの大きさをうかがい知ることができます。
また陶芸の分野でも、同じパターンをスタンプのように押して模様をつけていく「印花」という技法があります。さらに陶芸家石黒宗麿は、なんとジャガイモを版にして繰り返し押しつけることで器全体にリズミカルな意匠をあらわす「芋版」という技法を考案。身近なモチーフを版として使ってみようという作家の豊かな創造性が、新しい表現を生みだしていくんですね。