映像:麻雀用
触察:安原理恵
このコンテンツでは、八瀬陶窯から掘り起こした石黒宗麿の陶片を、作家(Artist)、視覚障害のある方(Blind)、学芸員(Curator)がそれぞれの専門性や感性を生かして読み解き、さまざまな感覚を使う鑑賞方法を創造していきます。
ページを閉じる触察:安原理恵
テキスト:中村裕太
石黒が作ったものか分からない。サイコロの「6」の裏は「1」で、「5」の裏が「2」、「4」の裏が「3」であるが、このサイコロは、「1」の裏が、「3」である。組み合わせがあべこべである。けれど、よくよく見ると、点の打ち方が少しずつ違う。「1」は点が大きいし、「5」や「6」は小さく押されている。しかも、何か鋭利な道具ではなく、木の枝かなにかで押されたようにも思える。石黒が何かの遊びに使ったのか、八瀬を訪れた子供がこしらえたのか。推察の域はでないが、手遊びでつくったとしても焼成まで行っているところをみると、何かしらに使われていたのではないか。石黒の作品によくみられる連続した「点」は《鉄文壺》にも見出すことができる。轆轤を回転させながらリズミカルに筆で点々を描いている。
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