このコンテンツでは、八瀬陶窯から掘り起こした石黒宗麿の陶片を、作家(Artist)、視覚障害のある方(Blind)、学芸員(Curator)がそれぞれの専門性や感性を生かして読み解き、さまざまな感覚を使う鑑賞方法を創造していきます。

ページを閉じる

映像:麻雀用

触察:安原理恵

陶片からなにがみえるかな?

サイコロ_ノ_メ

テキスト:中村裕太

石黒が作ったものか分からない。サイコロの「6」の裏は「1」で、「5」の裏が「2」、「4」の裏が「3」であるが、このサイコロは、「1」の裏が、「3」である。組み合わせがあべこべである。けれど、よくよく見ると、点の打ち方が少しずつ違う。「1」は点が大きいし、「5」や「6」は小さく押されている。しかも、何か鋭利な道具ではなく、木の枝かなにかで押されたようにも思える。石黒が何かの遊びに使ったのか、八瀬を訪れた子供がこしらえたのか。推察の域はでないが、手遊びでつくったとしても焼成まで行っているところをみると、何かしらに使われていたのではないか。石黒の作品によくみられる連続した「点」は《鉄文壺》にも見出すことができる。轆轤を回転させながらリズミカルに筆で点々を描いている。

石黒宗麿《鉄文壺》
石黒宗麿《鉄文壺》1960-68年頃、京都国立近代美術館所蔵
  • 陶片 No.15
  • 陶片 No.15
  • 陶片 No.15

陶片詳細

作家名
不詳
制作年
1936-1968
サイズ
1.9cm×1.9cm×1.9cm
技法
焼締

ABCコレクション・データベース vol.1 石黒宗麿陶片集

本コンテンツには音声が含まれます。