映像:さらさらマット
触察:安原理恵
このコンテンツでは、八瀬陶窯から掘り起こした石黒宗麿の陶片を、作家(Artist)、視覚障害のある方(Blind)、学芸員(Curator)がそれぞれの専門性や感性を生かして読み解き、さまざまな感覚を使う鑑賞方法を創造していきます。
ページを閉じる触察:安原理恵
テキスト:中村裕太
石黒は京都の蛇ヶ谷時代から伊賀、三島、刷毛目を作っていたと親交のあった陶磁器研究家の小山冨士夫が『石黒宗麿作陶五十選』のなかで記している。石黒はこうした刷毛目技法を白化粧だけでなく、わらの筆を用いて、金彩や黒釉などにも応用していく。さらには、自分の指先を刷毛として、削り取った釉薬の流れを模様にしている。この陶片は、刷毛の走りが荒々しく轆轤目に沿っていない。おそらく轆轤をゆっくり回しながら刷毛目を入れたのではないか。一方で、《鉄刷毛目茶碗》は、鉄絵によってリズミカルな市松模様が描かれている。
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