映像:四角い模様
触察:安原理恵
このコンテンツでは、八瀬陶窯から掘り起こした石黒宗麿の陶片を、作家(Artist)、視覚障害のある方(Blind)、学芸員(Curator)がそれぞれの専門性や感性を生かして読み解き、さまざまな感覚を使う鑑賞方法を創造していきます。
ページを閉じる触察:安原理恵
テキスト:中村裕太
石黒は、「大抵の葉は火がつくと、バチバチと燃えてめちゃめちゃになってしまう。ところが、火がついてもちょうどボール紙が燃えていくようにいくらか小さくはなるが、形をそのままに灰になっていく葉があるのです。椋の木、それから榎木。この二つは、どういう風に違っているのか。私は専門家ではないから分かりませんが」と、『NHK映画』のなかで語っている。映像のなかで石黒は、よく乾いた椋の木の葉を器に丁寧に一枚ずつ入れている。前回の調査では、登り窯のサヤの中から完成品の木の葉天目の茶碗が発見された。この茶碗がどのような経緯で残されていたのかは定かではないが、『NHK映画』で映された茶碗に器形が近しい。この陶片の見込みには、焼かれて小さくなった椋の葉が残っている。指で撫でると葉の先まで起伏を感じ取ることができる。
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