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陶片 No.19

陶片からなにがみえるかな?

トラ_ノ_セ

テキスト:中村裕太

石黒は「添竹而猶未長哮 不描牡丹反似猫 一揮落筆之何物 我書何流任衆嘲(本来なら竹を描き添え、その下で咆哮するはずだが、そうしてもまだ吼えないのだ。牡丹を描いていないので獅子にもならず、かえって猫に似ている。筆を振るって一体何を描いたのだろう。私の画は何流だろう。まあ、人々に嘲笑に任せよう。)」と漢詩を読んでいる。書画には、虎の歩く姿が俯瞰して描かれている。この陶片はその書画と同じ構図で描かれているが、虎の顔と尻尾が欠けている。それにもかかわらず、虎が悠々と背中をくねらせながら歩いている姿が見えてくる。

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石黒宗麿《虎図》
石黒宗麿《虎図》1941年、新湊博物館所蔵

ABCコレクション・データベース vol.1 石黒宗麿陶片集

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