陶片からなにがみえるかな?
タレタ_ミミ
テキスト:中村裕太
石黒は大の犬好きだった。1932年、民藝運動の支援者でもあった大原孫三郎(1880-1943)からシェパードの子犬(ゲル)をもらい受けるが、すぐに亡くしてしまう。すると、大原からもう一匹(ローザ)を貰い受け、そのお礼に自作の唐津の茶碗を送っている。石黒は、その後も犬を飼い続け、鳥打ちの猟のお供にした。犬の餌入れには、石黒の陶器が使われていた。この陶片には、壺の口の部分に手で捻って作られた犬が三匹貼り付けられている。三匹とも耳の部分が欠け、コッカースパニエルのように垂れた耳だが、もとはシェパードのように立っていたのかもしれない。
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