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陶片 No.24

陶片からなにがみえるかな?

コシ_ノ_クビレ

テキスト:中村裕太

この陶片は、石黒の陶器としては稀な作りである。口のかたちは、宋磁にも見られるが、李朝の白磁のようでもある。花器のくびれのあたりにくっ付いた耳がまるで肘を曲げた人体のようにも見えてくる。こうした陶器は、富本憲吉(1886-1963)の陶器作りを思い起こさせる。富本は、1920年ごろより白磁や青磁の壺を作り始め、アリスティド・マイヨール(1861-1944)の抽象化された人体彫刻の柔らかい稜線を理想とした。そのため、石黒の陶器のように耳がくっ付くことはなかった。

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富本憲吉《青磁花瓶》
富本憲吉《青磁花瓶》1920年、京都国立近代美術館所蔵

ABCコレクション・データベース vol.1 石黒宗麿陶片集

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