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陶片 No.17

陶片からなにがみえるかな?

ケショウ_ノ_ノリ

テキスト:中村裕太

石黒は、八瀬での作陶について「十年一日徹異端 染泥葛衣綻且寒 白片殘匋堆壘々 墻頭柿子紅珊々(私は十年一日の如く変らず異端を通してきており、泥にまみれた粗末な衣服もほころび、寒さにたえられないほどだ。堀の外に廃棄した白陶の破片はうずたかく積もるばかりだが、垣の上の柿の実は真紅に熟して珊瑚のようにかがやいている。)」と漢詩を読んでいる。八瀬には、玄関近くに柿の木が植わっており、書画にはしばしば柿の実った木が描かれている。この陶片は、鉛の入った茶色の絵の具で格子文が描かれているが、化粧のノリがあまり良くないために剥離している。こうした技法は、九世紀にメソポタミアからイランに流行したペルシャ壺に見られる。石黒は当時日本で開かれたペルシャ陶器の展覧会を通じて、そうした技術を見知ったのかもしれない。

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石黒宗麿《柿子図》
石黒宗麿《柿子図》制作年不詳、伏原家所蔵

ABCコレクション・データベース vol.1 石黒宗麿陶片集

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