京都国立近代美術館

ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

144 ウルリーケ・ローゼンバハ《私がアマゾネスだと信じないで》

ボイス(no.142)に学んだローゼンバハは、ドイツにおけるパフォーマンスや映像、また現代美術におけるフェミニズムの先駆者である。女性のアイデンティティを取り上げた本作は、その出世作。ギリシャ神話の戦う女性部族アマゾネスに扮した作家が、15世紀ドイツの画家シュテファン・ロホナー作《薔薇垣の聖母子》(1440–42年頃)の複製画に矢を放つ。その映像と、同時に別のカメラで撮られた複製画の映像が合体されることで、矢は作家の顔にも刺さって見える。聖母を男性が生み出した願望と見なしたローゼンバハは、これを射抜くことで自らにも認めた女性性を批判的に検証している。

ページトップへ戻る