京都国立近代美術館

ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

132 ケネス・ノーランド《プロヴァンス》

1950年代後半から1960年代のアメリカで台頭したカラー・フィールド・ペインティングの画家として活躍した。本作は、1956年から1963年にかけて制作された、同心円状のパターンで色面を配置したシリーズの一つである。赤・緑・黄・青に塗り分けられたドーナツ状の色面はいたって平坦で、抽象表現主義的な強烈な触覚表現が排除されている。しかし絵具は完全に均一ではなく、色むらや滲みが魅力的なニュアンスをつくっている。1960年代中頃以降、ノーランドはよりシャープでフラットな色面で構成されたハード・エッジ・ペインティングも手がけ、戦後アメリカの抽象絵画を牽引した。

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