京都国立近代美術館

ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

124 リチャード・エステス《食料品店》

写真を基に都市の景観などを克明に描いたスーパーリアリズムを代表する画家。1960年代半ばからアメリカを中心に現れたこの動向は、都市の消費文化を描く点ではポップ・アートと、冷徹な描写や身体性の消去という点ではミニマリズムと理念を共有している。エステスの一見写真のような絵画は、行き交う人々の姿を排除したり、さまざまな角度から見た情景を複雑に組み合わせたりと、現実を巧みに操作して描かれている。本作でも、食料品店の窓ガラスには反対側にある建物の反射と電飾が小気味よく重なり合わされ、リズミカルな調子を見せている。

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