京都国立近代美術館

ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

121  ジェームズ・ローゼンクイスト《無題(ジョーン・クロフォードは言う…)》

ポップ・アートの中心的画家の一人。大きなカンヴァスに大量消費社会の日用品を描いて、日常にあふれるもののイメージを芸術の領域に持ち込んだ。そこには、1950年代末に看板を描く仕事をした経験がうかがえる。本作は一見、映画スターである女優の肖像画のように見える。しかし実際には、1950年代に流通していたタバコの銘柄キャメルの広告の一部を切り取ったものである。広告の核となるタバコはほとんど示されず、クローズアップした女優とその身振りを強調した構図により、広告本来の役割は無意味化されている。

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