京都国立近代美術館

ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

091 パブロ・ピカソ《アトリエにて》

ピカソにとって「アトリエ」と「画家とモデル」は、敬愛するベラスケスなどの巨匠が描き、自身も若い頃から繰り返し取り組んだ重要なテーマである。画面は無数の線描で複雑に分割されているが、人物の頭や足、パレットや椅子の描写を手掛かりに、モチーフの全体像が想像できる。一本の垂直線が画面を二分し、その左右に画家とモデルの姿がある。したがってこの垂直線は、カンヴァスを暗示していると考えられる。本作は、南仏カンヌ近郊の小さな村ムージャンのアトリエで描かれた。二人目で最後の妻ジャクリーヌとともに1961年にこの地に引っ越したピカソは、最晩年も精力的に創作を続け、1973年にここで没した。

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