京都国立近代美術館

ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

086 パブロ・ピカソ《アーティチョークを持つ女》

1936年のスペイン内戦勃発から1945年の第二次世界大戦終結まで、ピカソは暗く不穏な雰囲気の作品を多く描いた。本作には、肘掛け椅子に座る女性が描かれているが、その雰囲気はまったく穏やかでない。女性の頭部は激しく歪んでおり、左手の爪は威嚇的に尖っている。右手に握られたアーティチョークは、中世の打撃用の武器モルゲンシュテルンを想像させる。また空間を覆うグレーは、戦場に立ち込める煙のようだ。ピカソの有名な《ゲルニカ》(1937年、ソフィア王妃芸術センター、マドリード)同様、直接的な戦争の描写こそないが、悲惨な戦争の暗示で満ちている。

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