京都国立近代美術館

ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

083 パブロ・ピカソ《マンドリン、果物鉢、大理石の腕》

第一次世界大戦の勃発後、政治・社会的なナショナリズムの盛り上がりに呼応するように、美術の領域でも伝統への回帰が起こる。キュビスムの画家として前衛美術を牽引していたピカソも、19世紀フランスの巨匠アングルなどの作品を参照しながら、古典的な主題や様式を積極的に作品に取り入れた。本作は、テーブルに置かれたマンドリン、果物鉢、大理石像の断片的な腕を描いた、伝統的な静物画と言える。モチーフの形は具象的であるが、正面と側面を組み合わせたマンドリンや歪んだ机など、端々にキュビスム的な形態表現も見ることができる。

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