京都国立近代美術館

ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

026 オットー・ディクス《自画像》

新即物主義の中心的作家。ドレスデンの工芸学校と芸術アカデミーに学ぶ。ポスト印象主義や表現主義を参照しつつ、古典絵画研究を通して、写実を凌駕するような圧倒的描写力を体得。第一次世界大戦の従軍体験を背景に、戦争の悲惨さを伝える作品群、大都会に生きる人々の虚飾や欺瞞を容赦なく描いた風俗画、人間の隠された部分をあぶり出すような肖像画を制作。本作では、カンヴァスと窓との暗い狭間に立つ自身をモノトーンの色彩で描き、ガラス球に映る内面、つまりひたひたと迫り来る不穏な情勢を前にした心情をストレートに伝えている。

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