林 直
「みつめる写真館」
プロジェクト
 

林 直 HAYASHI Tadashi

[作品発表]

 
 
  • © 林 直 (HAYASHI Tadashi
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© 林 直 (HAYASHI Tadashi

あなたの身近に残る思い出深い物、親しい方の記憶が堆積した物を教えてください。当館客員研究員・林直(はやし・ただし、写真家)が写真制作のための撮影対象を探しています。

 

制作趣旨

思い出深い品や長年使ってきた道具には、作り手や使い手の時間と記憶が堆積しています。しかし時間や記憶、物への愛着や思い入れなどは、目に見えません。林直はそのような事物の肉眼では見えにくい記憶の体積を、8×10の大型カメラとモノクローム・フィルムにより、写真画像に捉えようと試みています。大型カメラで撮影された銀塩写真は、小型カメラや近年広く使われるようになったデジタルカメラの画像では捉えきれない、物の微妙な質感や肌触りをより微細に写し撮ることができます。対象を記録することが写真本来の機能ならば、私的な歴史を共に重ねてきた事物の写真画像に、その所有者たちの愛着や記憶も写し撮ることができるかもしれません。この写真シリーズは、写真という光学的記録の中に記憶という私的で不可視な表象(イメージ)を定着することが可能だろうか、という写真家・林直のライフ・ワークとして位置付けられています。


作品の一例

 
 

憧れのがま口

直行便がなかった頃、父の初めてのイギリス出張でアンカレッジ空港に立ち寄った際、買ったがま口財布。

40年の月日を経て、母の引き出しで眠っていた物がついに私の手元に巡ってきました。

 

ご協力のお願い

物に宿る不可視の歴史や記憶は一人一人が紡ぎ出すもので、非常に個別的です。林はこの作品シリーズで、知人だけではなく、多くの人々がいつくしんできた事物を撮影することで、様々な個別的でオリジナルな記憶を拾い集めようとしています。最終的に百枚を越える写真による記憶の集合、まずこの巨大なアーカイブを築くことを目指します。この作品シリーズの制作意図をご理解いただき、道具などの事物を撮影することにご協力いただける方を探しています。

撮影にご協力いただいた方には、撮影した写真作品のコンタクト・プリント(8×10インチ・モノクローム)1枚を進呈いたします。


撮影について

ご協力いただける場合、まず林からご連絡いたします。撮影のため大切にされている道具などを一時的にお預かりすること、また様々なエピソードについてお話を伺う必要があります。また、歴史や記憶が堆積した事物は、特定の場所と強く結び付いています。その環境は記憶の一部として事物に刻まれています。現場での撮影が最もふさわしい場合も多いと思われます。

まずこのプロジェクトへのご協力の意志と、撮影対象として興味深いと思われる道具や物の情報をお知らせください。撮影対象の取り扱いや保全、お寄せいただいた個人情報につきましては最大限の注意を払います。


撮影に関する希望情報

このプロジェクトにご興味をお持ちいただいた方、ご協力の意志をお持ちの方は、下記項目の情報を添えて、郵送、ファックス、またはメールでお知らせください。後日林からご連絡し、具体的なスケジュールや撮影場所などのご相談をさせていただきます。

※撮影する対象をお預かりする場合、その安全な取り扱いと保全には撮影者の林直がすべての責任を負い、撮影終了後に速やかにご返却いたします。

※個人情報はご連絡以外には使用せず、厳重に管理します。なお、ご記入いただいた物や撮影場所およびその理由やエピソードは、ご本人の了承を得た上で、作品に付随する題名などで使用させていただく場合があります。

※写真の著作権は作者である林直に帰属し、林直の判断で展示もしくは出版される場合があります。

※この企画は林直の作家個人としてのプロジェクトであり、現在および将来の京都国立近代美術館の所蔵・展覧会活動とは関係がありません。


連絡先

郵送: 〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町
FAX075-752-0509


お問い合わせ先

京都国立近代美術館 学芸課
「みつめる写真館」プロジェクト 担当:朴 鈴子