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「〈醜〉と〈排除〉の感性論」 2006年度第3回 公開講演会
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「〈醜〉と〈排除〉の感性論」 2006年度第3回 公開講演会
以下の要領で公開講演会を開催します。皆様のご参加を歓迎します。
- 日時:
- 2007年1月27日(土)午後1時〜4時10分(2部構成)
- 場所:
- 京都国立近代美術館1階講堂
- 主催:
- 京都国立近代美術館、科研「〈醜〉と〈排除〉の感性論」研究会
- 聴講料・定員:
- 聴講無料、先着100名
予定表:
午後12:50までに | 開会10分前までに会場にお入りください |
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午後1:00〜2:30 |
講師: 佐藤 守弘(京都精華大学) 演題:「〈珍奇なもの〉のコレクションとしての横浜写真アルバム」 |
午後2:30〜2:50 | 休憩 |
午後2:50〜4:10 |
講師: 長野 順子(神戸大学文学部) 演題:「メドゥーサ幻想」 |
企画展及びコレクション・ギャラリーのご観覧料は別途であることをご了承下さい。
「〈醜〉と〈排除〉の感性論」 公開講演会趣旨
私たちが公開研究会のテーマに取り上げましたのは、〈醜〉と〈排除〉、さらには〈否定美〉、つまり「醜」「滑稽」そして「崇高」の世界です。それは単に新しいアートを理解することだけではなく、広い意味でのアートを社会的、政治的な場に戻して捉え直すことが、今日の大切な課題になっていると考えるからです。
例えば、〈醜〉の判定と、それを〈排除〉しようとする感情は、私たちの倫理観や宗教観、さらにはこれら倫理観や宗教観に支えられたアートにも深く関わっています。アートは決して単に感覚的に快適な世界を生み出す営みに限定されるものではないからです。また、政治イデオロギーや、宗教的信念の対立は、人間の感情の奥底にまで染み込み、この感情によって、あらゆる分野で悲惨な状況が生じてきましたし、今なお世界各地でそのような状況は続いています。ものごとを〈醜い〉とみなす感覚的反応は、そのような社会的文化的な感情と結びついています。〈醜〉に考察を加えることは、きわめて歴史的社会的政治的な文脈の中で知らないうちに形作られる、私たちの感情の構造に光を当て、そこに隠れている力学を批判的に考察する作業になります。アートからは色々な「美的カテゴリー」(美、滑稽、崇高、醜)が見出せますが、これらのカテゴリーは、美の種類を分類するための単なる名称ではなく、身体、そして心の深い次元で働いている、私たちの〈ものごとの見方〉、〈判断や認識の枠組〉です。アートもこのような世界の見方に関わっています。このような感覚の隠れた枠組の探求へと向かう点で、「美学」は「感性論」として、一方で具体的な現象分析を必要とし、他方で広義の「文化研究」とつながってきます。古今東西の〈醜〉の現象と、〈排除〉の感情の構造を考察し、現在の私たち自身の経験のあり方を考えること、これが私たちの研究の主題です。特に「醜」を取り上げるのは、このような否定美への感情こそが、人間の美意識の変遷のありようをむしろ鮮明に示すと思われ、また同時に人間経験におけるイメージと言語、感情とイデオロギーとの切り離せない関係を炙り出す重要なヒントになると思われるからです。
この公開研究会は2005年度から2007年度にかけて公開で行われます。情報はホームページに掲載します。皆様の御参加をお待ちします(会費無料)。
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