MoMAK Films 番外編 ピクチャレスク・ジャパン―世界が見た明治の日本― 2021年2月20日(土)・21日(日)
京都国立近代美術館と国立映画アーカイブの共催定期上映会「MoMAK Films」の番外編として、英国映画協会(BFI)所蔵コレクションから、明治期に外国人が日本を撮影して海外に伝えた映画をデジタル修復版で紹介します。明治の日本の風景や文化が映画で世界にどのように表現されてきたのか、現在では失われた風景や文化、人々の営みを、映画上映と専門家の解説を通して探ります。映画遺産とともに多様な文化や歴史を改めて顧みる本イベントに、みなさまのご来場をお待ちしています。
日時 |
2021年2月20日(土)、21日(日)14:00-16:20 第1部:映画上映 14:00-15:05(上映後、10分間休憩) 第2部:講演(ビデオ上映) 15:15-16:20 ※開場は開映1時間前。 ※上映と講演(ビデオ上映)のイベント(両日とも内容は同じ)です。 |
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料金 |
各日 520円(オンライン事前予約制のみ) ※中学生以下無料 ※心身に障がいのある方と付添者1名は無料(要証明)。 ※当日に限り、本券でコレクション展もご覧いただけます。 |
定員 |
先着30席 新型コロナウイルス感染予防・感染拡大防止のため、 MoMAK Filmsではお客様に安心して映画を鑑賞していただけるよう実施形態・入場券の販売方法を変更します。 MoMAK Films にご参加の皆様へのお願い(PDF) |
チケットの購入方法 | こちらからご希望のお日にちを選択いただき、購入ページへお進みください。 |
会場 | 京都国立近代美術館 1階講堂 ※会場内での飲食はご遠慮ください。 |
主催 | 京都国立近代美術館、国立映画アーカイブ、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会 |
特別協力 | 英国映画協会(British Film Institute) |
パンフレット |
パンフレット (PDF) |
令和2年度日本博主催・共催型プロジェクト
第1部:映画上映
*約65分。すべて英国映画協会(British Film Institute)所蔵作品・デジタル修復版、日本語・英語字幕つき、ピアノ伴奏つき上映。
*現存プリントに由来する不完全な作品が含まれています。上映順序・上映分数等に変更が生じる場合があります。
*言語・字幕の表記例:オリジナル言語はドイツ語、投影字幕は日本語・英語の場合→(言)独(字)日・英
尋常小学校での男児の体操と、女児の運動を収めた映像。女児の運動を回廊から先生や男児が眺めている様子も捉えられている。
街を行く神式の葬列を1ショットで捉えた映像。被写体、場所は不明(調査中)。
「座摩神社」や「天保講」の法被や「永代濱」の提灯などから、大阪の坐摩神社(当時は座摩神社)の祭りで御旅所への渡御(とぎょ)の風景と推定される。
調査協力:伊藤廣之(元大阪歴史博物館学芸員)
チャールズ・アーバン・トレーディング社、ウォーリック・トレーディング社、ゴーモン社、パテ・フレール社の映像から作られた「日露戦争プログラム」(1905、英)に含まれていた映像で、翁、鬼、おかめ、狐などの仮面をつけての舞踊を収めた作品。
京都・保津川の川下りを、出発地から渡月橋まで俯瞰映像も交えて収めた映像。NFAJ所蔵の「保津川の急流」(1906)とは別作品。
調査協力:小松弘(早稲田大学文学学術院教授)
大阪の道頓堀、京都の四条大橋、奈良公園、盆栽市、横浜伊勢佐木町での日露戦祝勝行列、横浜日ノ出町の葬列、傘張りや羅宇屋など、当時の日本の景観や風物、職人を捉えている。トーマス・アーマット・コレクションと同じ映像も多い。
調査協力:平野正裕(元横浜開港資料館・横浜市史資料室員)、村上忠喜(京都産業大学文化学部教授)、小松弘(早稲田大学文学学術院教授)
1909(明治42)年に開催された横浜開港五十年祭の市中の様子を収めたきわめて貴重な映像。山車の巡行、輸入商青年会による大名行列や魚がし連の囃し屋台、芸妓連の行列などが、関内地区の景観や賑わいとともに捉えられている。
調査協力:平野正裕(元横浜開港資料館・横浜市史資料室員)、小松弘(早稲田大学文学学術院教授)
稲刈り、脱穀、籾摺り、選別といった収穫・調製作業が克明に収められているだけでなく、湿田や作業場、地主や小作人、近所の子供たちらも映っており、農作業史料のみならず農民らの生活史料としても貴重な作品。
調査協力:東京大学農場博物館、米川智司(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)、小松弘(早稲田大学文学学術院教授)
京都・島原の太夫道中、七条大橋を渡る伏見稲荷の祭礼、滋賀・長浜曳山祭をおさめた映像。パテ・フレール社の作品資料によると、太夫道中と曳山祭の映像は、別作品の映像の可能性もある。
調査協力:村上忠喜(京都産業大学文化学部教授)、小松弘(早稲田大学文学学術院教授)
タイトルには蝦夷とあるが、長良川の鵜飼の様子が写されている。映像からは、当時の鵜舟や篝火、装束などが今とほとんど変わらないことがわかる。現存する最古の鵜飼映像と思われる。
調査協力:国立民族学博物館、卯田宗平(国立民族学博物館准教授)、小松弘(早稲田大学文学学術院教授)
木立の中にいる日本髪の若い女性と、人形を作る女性の映像。BFIの調査によると、パテ・フレール社作品の一部分の可能性もあり。
アイヌ民族の「舞踊や酒の儀式」・「入れ墨」として紹介されたものだが、衣装やアイヌ文様・舞踊、背景などから北海道の平取コタンで撮影されたものと思われる。
調査協力:国立アイヌ民族博物館、森岡健治(平取町立二風谷アイヌ文化博物館長)、岡田一男(東京シネマ新社代表)、小松弘(早稲田大学文学学術院教授)
一座の名前は不明だが、エジソンの1904年の同名作品とは別人と思われる。成人男性1名、青年2名、少年2名の計5人が、見事な足芸の樽回しやバランス、曲芸を披露。
調査協力:大島幹雄(サーカス学会会長)、小松弘(早稲田大学文学学術院教授)
伴奏
ピアノ:柳下美恵
武蔵野音楽大学卒業。1995年、映画生誕百年祭『光の生誕 リュミエール!』でデビュー。以来、国内、海外の映画館、映画祭で伴奏多数。あらゆる分野の無声映画伴奏を手掛けている。
第2部:講演(ビデオ上映)
*映画の上映後、国立映画アーカイブで10月24日(土)に開催した本イベントでの講演を撮影したビデオ(64分、DCP)を上映します。
講演者:小松弘(早稲田大学文学学術院教授) 無声映画の代表的な研究者として世界的に知られ、主な著作に『起源の映画』(青土社、1991)、『ベルイマン』(清水書院、2000)、共訳書にサドゥール『世界映画全史』(国書刊行会、全12巻)などがある。
講演者:平野正裕(元横浜開港資料館・横浜市史資料室員) 1992年より横浜開港資料館調査研究員として数々の展示を担当し、2005年横浜都市発展記念館展示「シネマ・シティ-横浜と映画」を企画。2015年市史資料室に異動し、2020年退職。
講演者:森岡健治(平取町立二風谷アイヌ文化博物館長)アイヌ文化・考古学が専門。
講演者:大島幹雄(サーカス学会会長) 40年間サーカスプロモーターとして勤務。主著に『海を渡ったサーカス芸人 コスモポリタン沢田豊の生涯』(平凡社、1993)、『明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか』(祥伝社、2013)、『<サーカス学>誕生』(せりか書房、2015)などがある。