NFAJ 所蔵作品選集 MoMAK Films 2018 京都で撮影された映画たち 明治からトーキーまで 2018年5月11日(金)・12日(土)
明治期の近代化政策のもと、京都では、シネマトグラフ(映画)とリュミエール社のカメラマンを伴った稲畑勝太郎の帰国を機に、映画の上映・撮影が始まり、1930年代までに多くの撮影所が作られました。本特集では、「明治150年展 明治の日本画と工芸」にちなみ、当時の京都で撮影された現存作の中から、上映機会の稀な作品を厳選し、明治期、無声映画期、トーキー期の三つの時代にわけて上映します。 明治時代の当時の京都の映像や劇映画の表現、無声映画時代に「日本二十六聖人」を描いたオールスター大作の醍醐味、そしてトーキー初期に太秦に作られたJ.O.スタヂオの和風モダンな作品を、お楽しみ下さい。
料金 |
1プログラム 520円(当日券のみ) ※中学生以下無料 ※心身に障がいのある方と付添者1名は無料(要証明)。 ※当日に限り、本券でコレクション展もご覧いただけます。 |
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定員 |
先着100席 入場券は1階インフォメーションにて販売します。1回目の上映開始1時間前より当日分のすべての作品の整理番号つき入場券を販売、開場します。各回入替制です。 |
会場 | 京都国立近代美術館 1階講堂 |
5.11
fri. 18:00-20:00
日本で撮影された最古の動く映像で、リュミエール社のコンスタン・ジレル、ガブリエル・ヴェールによって撮影されたもの。一部に日本人カメラマンの草分け・柴田常吉が撮影した映像が含まれているという説もある。
撮影 | コンスタン・ジレル、ガブリエル・ヴェール |
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![『実録 忠臣蔵[活弁トーキー版]』 1910-1912年](/img/2018/momakfilms/0511_cyushingura.jpg)
日本映画の父・牧野省三と最初の映画スター・尾上松之助コンビによる『忠臣蔵』(オリジナル長は不明)は、1910~12年に撮影された各場面をまとめたもので「日本映画最初の全通しの『忠臣蔵』」と呼ばれる。マツダ映画社所蔵の35mm可燃性ポジから復元した『実録 忠臣蔵』は、NFAJ既蔵版(42分)と同様、後に音声を付加された活弁トーキー版であるが、NFAJ既蔵版には含まれていないメインタイトルのほか、「南部坂雪の別れ」以降の多くの場面を含んでいる。
監督 | 牧野省三 |
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出演 | 尾上松之助、片岡市之正、大谷鬼若、嵐橘楽 |
特別口演 | 巴うの子 |
声色弁士 | 生駒雷遊、国井紫香、加藤柳美、谷天朗 |
5.12
sat. 14:00-15:36

朝鮮京城府のカトリック信徒・平山政十が巨額の資産を投じ、1597年に長崎で起きたいわゆる「二十六聖人の殉教」を映画化した国際大作。国内のみならずローマでもロケ撮影が行われた。作品の規模と新奇さが公開当時大きな反響を呼んだ反面、プロパガンダ的側面も強い異色作。オリジナルは19巻。
*本作品は弁士・伴奏付で上映します。
監督・脚本 | 池田富保 |
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原作 | エメ・ヴィリオン、ヘルマン・ホイヴェルス |
撮影 | 酒井宏 |
出演 | 山本嘉一、片岡千恵蔵、美濃部進、沢田淸、鳥羽陽之助、三桝豊、山田五十鈴、伏見直江、川上弥生、浦辺粂子、吉野朝子、浅香新八郎、光岡竜三郎、南部章二 |
弁士|澤登 翠 (さわと みどり)
東京都出身 法政大学文学部哲学科卒業。故松田春翠門下。弁士の第一人者として国内をはじめフランス、アメリカ他の海外公演を通じて、”弁士”の存在をアピールし高い評価を得ている。「伝統話芸・活弁」の継承者として”活弁”を現代のエンターテインメントとして甦らせ文化庁映画賞他数々の賞を受賞。多彩な語り口で現代劇・時代劇・洋画と様々なジャンルの無声映画の活弁を務めている。
2015年「文藝春秋」に掲載された「日本を代表する女性120人」にも選出されている。
2017年 第38回松尾芸能賞特別賞受賞
作曲・編曲、ギター|湯浅 ジョウイチ(ゆあさ じょういち) 1987年、東京国際映画祭にてD.Wグリフィスの「國民の創生」の楽師 を務めたことを機に、長年サイレント映画の伴奏用音楽の復元や作曲・制作なども行っている。また上映時に生演奏するための和洋楽団カラード・モノトーンを結成し、作曲・編曲・指揮の他、三味線等も演奏している。かつて無声映画で使用された古典的な音楽の復元から現代的なアプローチまで対応範囲は広い。 NHK-BSで放送されたローレル&ハーディー シリーズをはじめ、多くの無声映画DVDの音楽も出がけている。海外ではポルデノーネ国際無声映画祭での参加作品「雄呂血」が高評価を受け、以来イタリア/フランス/ドイツ/スイス/スペインを巡るヨーロッパツアーを行い、精力的に活動している。
バイオリン|古橋 ユキ(ふるはし ゆき)
桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。原田幸一郎氏、広瀬悦子氏に師事。
ユーディ・メニューイン インタ-ナショナルミュ-ジックアカデミ-スイス校へスカラシップ留学。
アルゼンチン・ブエノスアイレスで4年間の演奏経験を持つ。この間、国立コロン劇場 フィルハーモニー管弦楽団に所属する一方、タンゴバイオリンの最高峰アントニオ・アグリ、巨匠カルロス・ガルシアはじめ数多くの名演奏家の薫陶を受け、現地のトップクラスのタンゴ楽団へ数多く参加。ブエノスアイレスの代表的なタンゲリア「ビエホ・アルマセン」「ラ・ベンタナ」はじめ有名タンゴスポットへの出演やコンサート活動、レコ―ディングなどプロとして幅広く活動。帰国後も来日アルゼンチンタンゴ楽団の日本公演ツアーに多数参加。現在は自身のタンゴ楽団を中心に演奏活動を展開。
5.12
sat. 16:00-17:05
J.O.の第1回本格的トーキーアニメーションで、「おもちゃ箱シリーズ」の第1弾。列車に乗ったおもちゃ箱の人形たちが、襲ってきたネズミと闘う物語で、キャラクターや展開に当時のディズニーアニメーションの影響が濃厚。サウンドが欠落している。
作画 | 中野孝夫、田中喜次、舟木俊一、永久博郎 |
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撮影 | 平秦陣 |
![『音楽映画 百萬人の合唱[新篇]』 1935年](/img/2018/momakfilms/0512_gasyou.jpg)
J.Oの第1回作品。ピアノ調律師(徳山)が、令嬢(夏川)の支援を受け、当代人気歌手勢揃いの晴れ舞台に立つ。音楽映画を謳った本作では、円谷英二の凝ったカメラワークとともに、RCA録音システムの音質の良さと徳山璉、市丸、ヘレン隅田ら、昭和初期の歌謡、小唄、ジャズまで幅広い音楽を楽しめる。
監督・脚本 | 富岡敦雄 |
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原作 | J.O、ビクター文藝部 |
脚本 | 山名義郎 |
音楽 | 飯田信夫 |
撮影 | 円谷英二 |
装置 | 吉田謙吉 |
出演 | 夏川静江、伏見信子、 徳山璉、伊達信、小唄勝太郎、小林千代子、藤山一郎、ヘレン隅田、市丸、渡邊濱子 |
5.12
sat. 18:00-19:54
![『新しき土[日英版]』 1937年](/img/2018/momakfilms/0512_atarashiki.jpg)
日本を海外に紹介する日独合作映画で、ヒロインを当時16歳の原節子が演じた。欧州留学から帰国した日本人青年が、日本的なものの価値を見直すまでを描く。[日英版]は、ファンクが監督する[ドイツ版]と同時並行で、同じコンティニュイティ・俳優・スタッフを用いて伊丹万作が監督し、「西洋」対「日本」という対立構造を弱めるように構成されている。円谷英二の協力により、日本で初めて本格的なスクリーン・プロセス撮影が行われた。
監督・脚本 | アーノルト・ファンク、伊丹万作 |
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撮影 | リヒャルト・アングスト |
美術 | 吉田謙吉 |
音楽 | 山田耕筰 |
出演 | 原節子、早川雪洲、ルート・エヴェラー、マックス・ヒンダー、小杉勇、英百合子、中村吉次、高木永二、市川春代、村田かな江、常盤操子 |